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茅葺(かやぶき)屋根を守る人たち(南会津町・水引集落)

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会津

茅葺屋根を守る人たち(南会津町・水引集落)

2016年4月1日

標高800メートルの集落。その27軒のうち茅葺屋根の家屋が7軒残っている、南会津町の水引集落を訪ねました。
住んでいらしゃる方は殆どが70歳以上で、自力での茅葺屋根の維持は困難な状態です。
 
以前、集落内にある茅葺屋根の民宿「離騒館」さんを取材した際、「危機的な状態だった集落の茅葺屋根を7年前から東京の「NPO法人 山村集落再生塾」の方たちが維持、保存に協力してくださっている」とうかがい、興味を持っていました。
 
今回はタイミングよく、屋根の補修に使用するための茅刈作業が行われるとのお話をいただき、同行させていただくことができました。
当日は集落の方や南会津町役場の職員の方と併せて関東地区から「NPO法人 山村集落再生塾」の会員の方18名が参加していました。

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このような取組が始まったきっかけは、「NPO法人 山村集落再生塾」の主宰者である藤木良明さんがこちらの集落を通りかかった際に見かけた、一軒の崩れかけた茅葺屋根の家屋だったのだそうです。その姿に心を痛めると同時に、手つかずのままに残っている「日本の里山の風景」を残していきたいという思いがわき上がってきたそうです。
その後、自費を投じ、茅葺屋根の修復活動や、倒壊しそうな家屋の解体作業を集落の人達と行っていくようになったそうです。
 
「NPO法人 山村集落再生塾」を立ち上げてからは、Webサイトや口コミを通して集まった方々や町役場の協力も得て、茅葺屋根の修復活動や山桜の植樹など、景観整備も行ってきました。
 
茅葺屋根用の茅は、昔は山の中腹まで広範囲に栽培していたそうですが、現在は需要も少ないことから、麓のわずかな面積だけになっています。
茅葺屋根には、地域によって使われる植物は違うそうで、南会津地方では、ススキが使われていることを初めて知りました。
 
会員の方は、慣れた手つきで黙々と茅を刈り取っていきます。
初めて参加された方には茅の刈り方や鎌の使い方を、集落のお年寄りが実践しながら教えていらっしゃいました。
 
風にゆれるススキはしなやかに見え、刈り取りもそれほど難しいとは思っていなかったのですが、とても硬く、コツをつかむまでは大変な作業でした。

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刈り取られたススキを集落のお年寄りが束ねてくださいます。
天日で乾燥させ、今年の6月頃に、屋根の傷んだ部分に茅を差し込んでいく「差し茅」と呼ばれる方法で補修していくそうです。

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作業終了後に昨年から代表になられた浦野喬(たかし)さんに書いていただいた「茅葺集落を維持する術を模索する。」というメッセージの意味をうかがったところ

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代表の浦野喬さん

「あくまでも、主役は集落の方たちです。茅葺屋根を残したいと思われるのなら、残すためのお手伝いをさせていただきますが、残したくないとおっしゃるのであれば、保存を強要するつもりはありません。ただ、一生を自分の家で終わりたいと考えている方が殆どなので、その気持ちに寄り添って、最後まで住み続けていられるように協力をしていきたい。」とおっしゃいました。

主役はあくまでも、集落の方。
こちらの思いの強さで押していくのではなく、相手の意向に沿ったサポートをしていくことが必要なのだと。
 
今回の作業を取材させていただき、都市住民の方との交流を通して、集落の方たちの間でも相互扶助の精神が強くなってきているのではないかと感じました。
 
「NPO法人 山村集落再生塾」では福島県内の賛助会員の方も募集中とのことですので、是非、ご興味のある方は問い合わせてみてください。

お問い合わせ先

NPO法人山村集落再生塾

【URL】http://www.sansonjuku.org/
【E-mail】sansonjuku@gmail.com


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