東京・新橋駅と言えばSL広場! その広場を9月6日~7日の2日間にわたり、24の地方都市の物産品が埋め尽くしました。
この港区主催の「商店街と地方都市の交流物産展」に、福島県からは会津坂下町、塙町、いわき市、喜多方市、只見町が参加しました。
新橋駅前のSL広場にたくさんのテントが立ち並びました こちら喜多方市のテント。冷やして飲める甘酒が美味でした
只見町のブースを覗くと、「エゴマの味噌、どうですか~? 美味しいですよ~」と、ひときわ声の大きな女性がいます。それもそのはず。聞いてみると、「げんきかあちゃん」の名でブログを書き続けている、そば処八十里庵を経営するヤマサ商店のおかみさん・佐藤順子さんでした。
「去年から全国各地でたくさん出店したんだけど、去年は福島県を応援しようというお客さんが多くて助けられたんだよね。今年は放射能を心配する声はなくなったんだけれど、品物はあんまり売れないんだよね。全国的に震災の記憶が薄れてきたからなのか、この暑さのせいなのか分からないけどね。」
佐藤さんと一緒にブースの中で汗を流していた只見町役場産業振興課の五十嵐貴則さんも続けます。
「原発事故以降、風評が立ってしまったのが辛いところです。」
「風評被害が続くと、これまで作物を作ってきた高齢の農家の人が農業をやめちゃうでしょう。うちなんかエゴマを作ってくれる人がいなくなったら困っちゃう。なんとか風評被害を吹き飛ばさないとね。」
そう言いながら、また元気な声で行き交うお客さんに特産品をPRする佐藤さんの声に、こちらが元気をもらったような気がしました。
試食した人がみな「美味しい」と唸ったエゴマの味噌 こちらは「げんきかあちゃん」おすすめの「そばやきもち」
足を進めるといわき市のブースに出くわしました。テントの中に目をやると、名産の「うにの貝焼き」と、ちょっと珍しい揚げたての「マグロメンチ」が飛び込んできました。いわき出身の私は、懐かしさのあまり、即座にうにの貝焼きを注文。700円也。う~ん、安い。
いわき市観光物産課の木村丈二さんに話を聞きました。
「貝焼きのうに使用しているうに自体は、いまのところロシア産のものを使っています。貝焼きの製法はいわき伝統の作り方で、ふっくら焼き上げるのが難しいんです。地元のうには使えなくても、故郷の味は守っていかないといけないですからね」
一方、マグロのメンチはいわき海星高校の実習船が、ハワイ沖で獲ってきたマグロを使っているとのことです。
懐かしい「うにの貝焼き」と、いわき海星高校の実習船が獲ってきたマグロを使用した「マグロメンチ」!
ところで、皆さんはいわき市と新橋が深い関係にあるのをご存じでしょうか。SL広場のすぐ横にある“サラリーマンの聖地”ニュー新橋ビルには市の東京事務所が入居しているし、昨年3月まではここに市のアンテナショップがありました。
そうした縁から、8月初旬、いわき市はニュー新橋ビル内の7つの飲食店に、「いわきウィーク」と称していわきの食材を無料提供していました。
この日はすでにいわきウィークは終了していましたが、ニュー新橋ビル内には「いわきの旬 召し上がれ!」の幟の立ったお店が何軒もあります。
木村さんの紹介で訪ねた「らまんちゃ」のママ・澤和子さんは、「これからも応援するからね」と声をかけてくれました。
また居酒屋「秩父」さんでは、例の「マグロのメンチ」を気に入ってくれ、継続的にお店で扱ってくれることにしてくれたそうです。
ニュー新橋ビル内の「らまんちゃ」さん。幟を立てていわきを応援してくれています。
こちらは「秩父」さん。あつあつのマグロメンチで冷たいビールといきたいもんです。
“サラリーマンの聖地”には、福島県やいわき市を応援しようという熱気が充満しています。