会津人参とは、正式名称は「オタネニンジン」と呼ばれる薬用人参で、朝鮮人参のことです。
以前は会津美里町の新鶴地区を中心に盛んに栽培されていたのですが、生産者の高齢化や低価格な輸入品におされ、
栽培をやめてしまう生産者が増え、現在は会津若松市内の徳久地区でわずかに栽培されている程度だそうです。
言われてみると、数年前までは黒いシートに覆われた畑も目についたのですが、
最近は見かけないな~と思っていました。
会津人蔘農協組合もこの秋には完全に解散してしまうそうですので、生産者も殆ど残ってはいません。
最盛期には300人以上いた組合員さんも現在は7~8名です。
このような状況を、複雑な表情で話すのは会津若松市徳久地区に住む菊地さん。
新鶴地区の生産者さんがみんな辞めてしまい、3反の畑を持っている菊地さんが、
唯一大規模な生産者として残るからだそうです。
今年堀上げているのは5年ものです。
会津人参は収穫できるまでに、4~5年かかります。
新たに始めた場合、5年間は無収入になるわけですから、栽培をしようと思う人がなかなか現れないのも
無理はありません。
そして、収穫後の畑は養分がすっかりなくなってしまった状態になるので、
土壌改良をしてからでなくては、作付ができません。それにはかなりの経費がかかります。
さらに、形の良い人参を作ろうとすると1年、あるいは3年で掘り起こして、定植しなおしたり、
様々な手間がかかります。
菊地さんのお宅では息子さんが後継者として頑張っていますが、
このままでは10年後には会津人参は消えてしまっているでしょうと、おっしゃいます。
せっかく、会津藩で広めた人参です。
会津の伝統野菜と同じく、残していかなくてはならないと思います。
「作りにくくても、会津の特産品として残すために、地元の食堂や旅館等で使ってもらい、
会津人参をもっと消費してもらえるように頑張っていきたい。
そして、新しい形で地元に定着させるためには何をすべきかを現在は考えている。」と話されていました。
2013年に開設される会津医療センターには東洋医学科が作られる予定で、
漢方薬の一部として使用することになるそうです。
そのためにも品質のよい会津人参を絶やさないようにと、医療機関から期待されているとのこと。
今後の需要拡大に期待したいですね。