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2015年2月17日
西会津町の特産品である車麩の製造元「有限会社丸十製麩本舗」さんを見学をさせていただきました。
現在三代目の田崎充さんは、後継者を探していた先代に弟子入りをするために40代で脱サラ、代々引き継がれてきた製法と全ての製造用機器を譲り受け、ご夫婦で伝統の味を守っていらっしゃいます。
車麩は雪国の冬の保存食として広がってきたもので、以前は各家庭で手作りしていたほど、生活に密着した食材だったそうです。
そのような車麩ですが、食文化が変化していくにつれ、調理法を知らない若い世代からは敬遠される食材になりつつあると、田崎さんは危惧されていました。
確かに車麩は一般的なお麩とは少し違い、調理前に水でもどして柔らかくするという一手間が必要です。しかしその一手間をかけることで、同じお麩とは思えないほどもっちりとした弾力が魅力の食材です。
「有限会社丸十製麩本舗」さんの車麩は、グルテンと強力粉のみの生地を炭火でふっくらと焼き上げています。
車麩を焼く工程の日は、午前3時から150キロにもおよぶ炭起こしが始まります。
釜の辺りは80度を超すほどの熱さになるそうです。真夏でも跳ね返る炭火で火傷をしないようにジャンパーを着込まなくてはならず、灼熱の中での過酷な作業です。
手作りの木の棒に菜種油を塗り、練り上げた生地を巻きつけていきます。
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この菜種油を使用することもこだわりのひとつ。先代から受け継がれたもので、他の油に変更する気にはなれないそうです。
生地を伸ばし、その戻る反動を利用しながらリズミカルに棒に巻いていきます。
生地には膨張剤を使用していないそうで、生地の中にあるグルテンの微細な膜の中に空気を含ませて膨らませるという技でお麩を膨張させるのだとか。
田崎さんは、どこまでも先代の教えを忠実に守っていらっしゃいます。
教えとともに、譲り受けた機械も大切に修理をしながら使っていらっしゃるそうです。丹念に手入れされた道具と機械は年季が入っていますがスムーズに作動して、田崎さんの技を支えています。
棒に巻いた生地を奥様が手際よく焼いていきます。
仕上がりの焼き色が均一になるように位置を替え、炭に灰を被せて微妙な温度の調節をしていくという経験と勘が必要な作業です。
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巻き~焼きの工程を3回繰り返して、やっと一本のお麩が焼き上がります。
奥様が「焼きたてのお麩はなかなか食べられないよ~」と切り分けてくださいました。
表面は香ばしく、中はもっちりと弾力があり、ふっくらとしていて、生地の小麦の味を感じる絶妙なお麩の味。職人技のすばらしさに感動しました。
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焼き上がったお麩は、翌日にもう一度釜で蒸してから切り分け、天井に吊り下げて乾燥させます。
乾燥させる日数は夏は1週間、冬は2週間はかかるそうです。
手間暇かけた贅沢な逸品です。
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田崎さんに車麩のおいしい調理法をうかがったところ、「水に浸してもどしたお麩は、水分をきっちり絞ることが肝心です。」とのこと。
実際には水に浸して10分もすると柔らかくなってきます。その10分をかければおいしい車麩を食べることができるのであれば、私も今度から使ってみようと思いました。
現在は膨張剤を使用せず製造している車麩は全体の1~2割程度だとうかがい、そんなに少ないのかと感じました。しかし、技術と体力を必要とする田崎さんの製造現場を見学させていただき、膨張剤を使わない車麩が少ないことに納得しました。
震災の風評の影響も続いている状況だそうですが、地元の人に対しても改めて車麩のおいしさを伝え、この難局を乗り越えていきたいと仰っていました。
昔ながらの食文化というのは、核家族が増えている現代ではなかなか年長者から教えられる機会も少ないものです。このような伝統の技で作られている食文化を後世にも伝えていかなければならない、と強く思いました。
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代表の田崎充さんと奥様の真里子さん
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大(350g)770円 小(200g)460円
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有限会社 丸十製麩本舗
【住所】福島県耶麻郡西会津町野沢字原町乙2161の2
【TEL】0241-45-3428
【営業】8:00~18:00 不定休
※福島県では、福島県会津地方の食を応援するシェフの皆さんと一緒に、会津の新しい伝統料理を開発し、おもてなしをしようと「新会津伝統美食研究会」を立ち上げました。ここでは、今回ご紹介した車麩のような伝統食材を使って新しいメニューを考案し、それを県内の飲食店等で提供しています。
車麩を使った新メニュー及び提供店舗等については下記をご覧ください。
http://aizubishoku.com/?s=%E8%BB%8A%E9%BA%A9
(なお、提供店舗によってはコース料理の一部として提供している等の場合もありますので、詳しくは各店舗にお問い合わせください。)