
夏の暑さ対策にぴったりの野菜「きゅうり」。福島県は有数の産地で、夏から秋にかけて栽培される「夏秋きゅうり」の収穫量は日本一を誇ります。(農林水産省統計 平成25年産)
そのきゅうりの県内における中心産地が須賀川・岩瀬地区。今回はこの地域の若手農業者の中でも、外部への情報発信や地域の農業振興について独自の活動を積極的に行っている、設楽(しだら)哲也さんにお話をうかがいました。
今回はその3です。
その1 農業に変化をもたらすもの (2014年6月24日公開)
その2 行動、思考、情報発信 (2014年6月25日公開)
その3 日本一きゅうりのことに詳しい小学生!? (2014年6月26日公開)
僕たちがモデルケースになる

昨年度、須賀川農業青年クラブ(4Hクラブ)の会長を務め、須賀川商工会議所青年部や地元小学校、地元住民との交流を図り農業・地域活性化に積極的に取り組む設楽さん。
「農業は後継者不足に悩まされているわけですけれども、実は後継者になりうる子供に農業では食べていけないから継がせたくないという親の声も大きいわけです。
でも7年目の若僧である僕や仲間が農業で食べていけるとなれば、それが実証できれば“だったら継がせてもいいか”そういう話になると思います。栽培技術や経営、販売方法などについてももっと勉強して、僕たちがモデルケースを創って巻き込んでいければと。」
設楽さんの想いはそれだけにとどまりません。
「現在申請しているNPO法人“OYAKODOふくしま”の活動などを通して、将来的には子供たちの“なりたい職業ランキング”に農業を入れたいんですよね。そのために身近にあるけどほとんどわかっていない農業を、子供たちに感じて知ってもらえるようにしたい。
そのために、農業体験のように直接農業をするということだけではなく、農業を題材とした授業も行ってみたいと思っています。
例えば、田畑にある題材で問題文や式・答えを自分で考え“足し算・引き算の本”を作ったり、お米や野菜のことについて英語で表現したりといった、体験型の授業です。
また、”職業としての農家”を理解してもらう活動もしていきたいと思っています。」

設楽さんのイマジネーションは止まりません。
「須賀川はせっかく夏秋きゅうり日本一なんですから、きゅうりのことが日本一詳しい小学生がいる地域にするというのも面白いと思うんです。
きゅうりの“いぼ”が痛いほど硬ければ品質が良いというけれども、それは未熟な体をしっかりと守れる強さを持っているからで、完熟すれば黄色く柔らかくなって鳥などに食べてもらい種を運んでもらうんだよ、なんてサラッと小学生が言える。そうなったら、まさに日本一のきゅうりのまちですよね。」と微笑まれました。
「須賀川はきゅうりについて理念を明確化し情報発信した方が良いと思います。なぜならそれを強く意識し自信にできる環境にあるからです、なんといっても日本一なのですから。」
設楽さんからは農業のプロとしての自負と地域への愛情が強く感じられました。私も同じような状況下にある農業者として強い共感を得るとともに、
「俺も負けてられないな!」と対抗心が湧きたちました。
福島県下にこういった切磋琢磨できる若手農業者が出てきている今、福島の農業は決して暗くない、むしろ逆境をバネにより力強く復興できると確信しました。

最後にきゅうり農家としてオススメの美味しいきゅうりの食べ方をうかがいました。
「僕は麺つゆに漬けて食べるのが好きなんですが、やはり“もろきゅう”のようにシンプルかつきゅうりの新鮮さを感じられる食べ方が良いかなと思います。
でも、この前友達に、大きく育ちすぎたきゅうりの皮をむいてそれを“きゅうりそうめん”にして食べると美味しいよねと言われて。
いやあ”農家にとって大きく育ちすぎたきゅうりに商品価値は無いわけで、その発想は無かったわー”と思わず感心してしまったんです。
ですから、栽培のプロには見えない食べ方をみなさんもご存じだと思います。ぜひ教えてください!」
どこまでも柔軟に物事をとらえ吸収していく設楽さんの姿勢、思わず微笑んでしまいました。
みなさん、美味しいきゅうりの食べ方があったら設楽さんのFacebookに投稿してコミュニケーションを取ってみてくださいね。
素晴らしいご縁になること請け合いですよ!
設楽さんのFacebook https://www.facebook.com/shitetsu
「OYAKODOふくしま」https://www.facebook.com/oyakodo.fukushima