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行動、思考、情報発信 設楽哲也さん -その2-

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設楽哲也さん

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設楽哲也さん

夏の暑さ対策にぴったりの野菜「きゅうり」。福島県は有数の産地で、夏から秋にかけて栽培される「夏秋きゅうり」の収穫量は日本一を誇ります。(農林水産省統計 平成25年産)
そのきゅうりの県内における中心産地が須賀川・岩瀬地区。今回はこの地域の若手農業者の中でも、外部への情報発信や地域の農業振興について独自の活動を積極的に行っている、設楽(しだら)哲也さんにお話をうかがいました。

 
今回はその2です。
その1 農業に変化をもたらすもの             (2014年6月24日公開)
その2 行動、思考、情報発信               (2014年6月25日公開)
その3 日本一きゅうりのことに詳しい小学生!?        (2014年6月26日公開)
 

立ち止まらずに、がむしゃらに

やっと農業経営が軌道に乗ってきた矢先に起きたのが、大震災と原発事故。
 
「国の基準に従って放射性物質検査をクリアした農作物を販売していますが、家族を持つ同級生や知り合いに以前のように気軽に『ウチの食べる?』とか、県外の友人・知人に『福島に来なよ』と言うことに葛藤がないと言えば正直なところ嘘になります。」と設楽さんは率直に語られました。
 
もちろん自分が将来家庭を築き、奥さんや子どもにも食べてもらえるような米や野菜を育てていると信じているとおっしゃっていましたが、自分の生産物に対する周りの様々な視線や考え方に本来不必要な心配や気遣いを巡らしてしまう、このことは原発事故のもたらした“見えにくい”精神的な悪影響としてぜひ皆さんにご理解いただきたいところです。

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しかしそれでも設楽さんの印象は、エネルギッシュでポジティブ。震災・原発事故からの3年間、どうやって当初の苦境から、今その印象を抱かせるまでに立ち戻って来たかをうかがうと、

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「立ち止まると嫌なことばかり頭に浮かんでしまうんですよね。そして前向きになれなかった。
だから、とりあえず目の前のことをやるということに集中しました。
普段の農作業のほかに家庭教師もしていますが、がむしゃらに、効率性とかそういうものを考えずに、全力で突っ走りました。とにかくやろう、と。」

ただでさえ多忙なのにさらに自分を追い込む、一見投げやりとも見える行動ですがそうではありませんでした。
 
「その中で見えてくるものが、気づくことがあったんです。現状を飲み込んで受け入れて、目の前の仕事と向かい合っているうちに、あったらいいなと思うものや、ここがわからないなということが明確になってくるんですね。」

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ここは大変興味深い点だと感じました。考えることはもちろん大事です。ですがそれ以上に“行動する”ことが活路を切り開くということ、そして行動するからこそ見えてくるものがあること。
 
行動とともに思考があり、そしてある時、苦境の中に活路が開ける。そのことを改めて教えていただきました。

日々の積み重ねを見せる

その活路を切り開いた行動の一つが、Facebookへの投稿でした。
 
「Facebookは震災後に始めたのですが、最初は“みんな元気か?俺は元気だよ”そういうことを伝えたかったんです。
その後は特に意識せずに、農作業日誌のように日々の仕事について何気なく投稿していました。」
 
しかし、その何気ない投稿が思いがけない反響を呼びました。
 
「“きゅうりの苗って?この“わら”何に使うの?草刈りってなんでするの?“そういった僕が当たり前と思っていたことがみんなにとっては当たり前じゃなかった。
それらの疑問に答えていくと“なるほど!”って納得してくれて。」

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その時気づいたことがあったそうです。
「わからないから“イメージでこんな感じ”と思われてしまうし、わからないから“不安”なんだなと。
これは熱弁をふるってもダメだなと思いました。
そうではなくて自分のやっていることを、フルオープンで、とにかくFacebookに載せていこうと。日々のことを積み上げ見せようと。
客観的な事実の上に思いがのればそれは主観になるし、それが信頼につながっていくと思います。」
 
これは大変重要な示唆を与えてくれることだと思います。データや情報を提示することはとても大事なことです。
それにプラスして、当事者が当たり前に日々行っていることは多くの方にとっては当たり前ではないという意識を持ち、その当たり前の日々の積み重ねをしっかりと情報発信し、様々な疑問や意見をもとにコミュニケーションを取る。
そういったことが福島県産品の信頼回復のカギになる、その実例を見せてもらった気がします。

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次回、日本一きゅうりのことに詳しい小学生!? は6月26日にお届けいたします。


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