
夏の暑さ対策にぴったりの野菜「きゅうり」。福島県は有数の産地で、夏から秋にかけて栽培される「夏秋きゅうり」の収穫量は日本一を誇ります。(農林水産省統計 平成25年産)
そのきゅうりの県内における中心産地が須賀川・岩瀬地区。今回はこの地域の若手農業者の中でも、外部への情報発信や地域の農業振興について独自の活動を積極的に行っている、設楽(しだら)哲也さんにお話をうかがいました。
本日より3回に渡ってお届け致します。
その1 農業に変化をもたらすもの (2014年6月24日公開)
その2 行動、思考、情報発信 (2014年6月25日公開)
その3 日本一きゅうりのことに詳しい小学生!? (2014年6月26日公開)
きゅうり大産地としての面目躍如
対談に伺った日は、季節外れとも言える猛暑。さらに設楽さんとの対談場所はきゅうり定植したばかりのハウスの中。
これは過酷な対談になりそうだ…と思いハウスの中に入ると、それほど暑くありませんでした。
それもそのはず、ハウスにかけられているのはビニールやガラスではなく、防虫ネット。
これは“防虫ネット栽培”といい、露地栽培で悩まされる害虫の影響を防ぎながらきゅうり栽培を行うことができる技術なのです。

須賀川・岩瀬地区ではこの「防虫ネット栽培」を、その黎明期からいち早く取り入れるなど、常にきゅうり栽培の最先端を走っているのですね。
まさに、きゅうり栽培のメッカとしての面目躍如と言えるのではないでしょうか?
「7月から9月にかけての時期は、きゅうり収穫の最盛期です。きゅうりは大変に生育が早いため、朝4時と夕方4時の一日2回収穫・夜には選別作業をしなければならないんですよ。

そして日中は葉かきをしたり水やりをしたりなど、きゅうりの状態をよく観て手入れしなければなりません。その合間を縫って田んぼの草刈りやネギ畑などの管理もします。」と設楽さん。
ある方が、この時期はきゅうり農家にとって「百日戦争」なんだよ、とおっしゃっていましたが、食卓に届くみずみずしいきゅうりは、きゅうり農家の皆さんの不断の努力によって成り立っているということを改めて痛感しました。

農業の“外”からの視点

それだけ大変な作業があるにもかかわらず、設楽さんは経営の多角化を進めています。
「私の家は代々続く農家で、近年ではきゅうりとお米の栽培がメインです。
私は旅行会社・小学校勤務を経て7年前に農業を継きました。そして最初の取組みとしてきゅうりとお米の作業の合間に出来ることが無いか模索しました。
そこで、初春に “ウド”などの山菜、さらに稲刈り終了後に収穫できる“ネギ”を導入し、周年で営農できるようにしています。」
ネギについては若手の農家仲間と共同出荷する体制を整えるなど、着実に新しい基盤を構築している設楽さん。
そんなに休みなく働いて大丈夫なのか聞いてみると、「いやー、大変ですよ」と微笑まれました。

とはいえ、これだけドラスティックな経営改革を実行できるというのは、一度農業以外の世界に身を置いたからなのだろうと感じます。
私の家も稲作一辺倒でしたが、私の代から野菜の栽培を経営に取り入れたのです。
設楽さんと私には共通項が多くあります。一度農業以外の職業に就いてからの就農。そして基盤となる品目が元々あること、私の場合は“米”で設楽さんの場合は“米ときゅうり”です。
そう考えていきますと、これからの農業に変化を起こすキーワードとして、「農業の“外”からの視点」・「経営の基盤となる品目」・「チャレンジ思考とそれが出来る余裕」、
こういったものが挙げられるのではないか?私はそのように考えを巡らせました。
次回、行動、思考、情報発信 は6月25日にお届けいたします。