「冬野菜」です。

2014年2月13日
暦の上では立春を過ぎましたが、まだまだ春の暖かさが待ち遠しい季節です。
今回は、そんな冬場の季節の料理にもよく登場する、福島県の冬野菜、ニラ・シュンギク・ネギをご紹介します。
独特の香りのスタミナ野菜、ニラ!
ニラはネギ科(1990年代以前はユリ科)の植物。中国から入ってきたニラと日本人の関係は古く、『古事記』や『万葉集』などにも登場します。
江戸時代の頃には薬用として栽培されるようになり、明治時代には食用に広まってきます。現在のように、野菜としての消費が増えたのは戦後になってからです。


ニラには葉を食用とする葉ニラ、太陽光を遮って軟白栽培した黄ニラ、つぼみがついた若い花茎を食用とする花ニラに大別されます。日本国内でニラと呼ばれた場合、一般的には1番目の葉ニラを指します。
ニラといえば、刻んだ時の独特の香りを思い出す方も多いとおもいます。その香り成分は硫化アリルという硫黄化合物の一種で、消化酵素の分泌を促したり、殺菌作用を発揮したり、ビタミンB1の吸収を高めたりと様々な効能があるといわれています。
また、沢山のβカロテンやビタミンB群、C、E、カリウムやカルシウムを多く含んでおり、栄養がバランス良く豊富に含まれています。

福島県のニラは、秋冬期における代表的な野菜です。通年の出荷量全国第8位。(平成24年度産野菜生産出荷統計:2013年11月公表 より)
冬のスタミナ野菜として豊富な栄養を含むニラをどうぞ!
冬の鍋物の定番。さわやかな風味のシュンギク!
シュンギクは地方によってはキクナとも呼ばれ、ゴボウやレタス、フキ等と同じキク科の植物です。一般的なキクの花が秋に咲くのに対し、春に花が咲くところから、春のキク=シュンギクと呼ばれるようになったそうです。
しゃきしゃきとした食感とさわやかな風味が特長。ホウレンソウやコマツナよりも豊富にカロテンを含み、カルシウム、カリウム、鉄分などのミネラルを多く含んでいます。

福島県のシュンギクは出荷量全国第10位。(平成24年度産野菜生産出荷統計:2013年11月公表 より)相双、県北地方などで栽培されています。
シュンギクは一株植えるとどんどん増えていく力強さがありますが、美味しいシュンギクを育て続けるためには収穫時の摘み方が重要で、若い葉をどのように残すかで次の成長、出来映えが異なってくるそうです。余分な葉を落としすぎても茎が太く育たないなど、バランスを考えての収穫、栽培が必要なのだそうです。

皆さんご存じのとおり、冬の鍋物には欠かせないシュンギク。
冬春期のシュンギクは、葉が柔らかく、栄養が豊富でおいしいとされています。
過去の取材記事
元気の秘訣は春菊栽培!(南相馬市)
風邪の時にも強い味方?!食卓の名バイプレイヤー、ネギ!
ネギは前出のニラと同じく、ネギ科(1990年代以前はユリ科)の植物。
ネギもニラと同じく日本人との関係は深く、中国西部原産で日本に渡ったのは8世紀頃。奈良時代の木簡や『日本書紀』にも登場し、平安時代には既に食用として盛んに栽培されていたようです。
一般的に東日本では白ネギ、西日本では青ネギが好まれるという印象を持っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
いわゆる白ネギ(根深ネギ)の長くて白い部分は根元に土寄せをして太陽光を遮り、軟白部が長くなるように栽培されたものです。白い部分を多く食べられるようにする知恵の産物ですね。

ネギの葉にはカロテンが多く、茎の部分にはビタミンCが多くふくまれています。他にも葉酸や、近年注目されているセレンというミネラルも含まれています。
また、食べると血行を良くし、身体を温める効果があると言われています。
刻むと、ニラと同じ香り成分の硫化アリルが発生します。先ほどもお話しましたように、消化酵素の分泌や殺菌作用などの効果を発揮する成分です。
風邪の時にネギを食べたり首に巻いたりといった習慣が古くからあるのもここからきているのかもしれませんね。
福島県のネギはいわき地方が一大産地です。そのほかにも須賀川の「源吾ねぎ」、郡山の「阿久津曲がりねぎ」など、地域に古くから伝わる伝統野菜もあります。
過去の取材記事
郡山ブランド野菜、阿久津曲がりねぎ(郡山市)
台風にも負けない曲がりねぎ(郡山市)

阿久津曲がりネギ
こうしてそれぞれを見てきますと、冬野菜たちは寒い時期の栄養と美味しさのために大きな役割を果たしていますね。
寒さに負けないように、冬野菜の力を借りて、元気に過ごしましょう!
(記事:テツ編集長)