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取材の途中に突撃取材(いわき市)

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先日、取材へ行く途中に道路沿いの畑で農作業をされていた藁谷トモ子さんと藁谷スミ子さんにお話を伺ってきました。

お二人は、いわき市の三和町にお住まいで、農業を営まれています。
三和町は“いんげん”が美味しいと評判だそうで、
他にもきゅうり、じゃがいも、らっきょう、長ネギ、かぼちゃなどを作っていらっしゃいます。

 

暑い中、畑仕事に精を出されているところ、手を休めて頂き、昨年の震災からこれまでについて尋ねました。

 

お二人は震災前まで近くの直売所の会員として野菜を出荷されていました。
国道沿いにあるということもあり、震災前までは週末になると100人以上のお客様がいらしていた人気の直売所でした。
しかし、震災後は客足がパッタリと無くなり、現在は10人弱しか来なくなってしまったそうです。

直売所の会員も震災前は15名いましたが、震災後はお二人も会員を辞め、
中には野菜作りをもやめてしまう方もいて、現在は4名のみとなってしまいました。

藁谷スミ子さんは原発事故後、畑には行ってなかったそうです。
しかし約2ヶ月が経過し、これまで長年、愛情を注いできた畑が雑草でいっぱいになっている姿を見て
ほっておくことができなくなり、マスクをして作業着を着て、
肌を出さないように完全防備した上で草むしりをしたそうです。

ただ当時は事故直後とあって放射性物質に対する知識も情報も乏しく、
畑に入ることを家族に止められ、それからしばらく畑に入らなかったそうです。

藁谷トモ子さんは現在でも地元スーパーに野菜を卸していますが、
原発事故後から売れない日々が続きました。
またこれまで野菜を収穫すると近所の方や知人にお裾分けされていたそうですが
事故後はそれもはばかられ、
「作ったって食べてもらえないのでは、しょうがない」という気持ちになったそうです。

 

放射性物質の検査も、県で行うモニタリング検査のほか、現在ではJAさんや大手スーパーさんなどでも体制が整い
無料で検査できる場所が増えましたが、事故直後は有料で自主検査を受けていた方が大半でした。
お金をかけて検査しても売値は多くの農作物が半値、もしくは それ以下で
さらに、なかなか買ってもらえないという非常に厳しい環境でした。

県内の農家さんには風評被害に負けず戦い続ける方も多くいる一方、
厳しい環境によって農業から離れざるをえなかった方も多くいます。

そうした中でも、震災前と変わらず畑仕事に精を出されてきたお二人。

最近は徐々に購入する方も増えてきていることです。

 

突然、お話を伺ったにも関わらず気さくに答えてくださった優しいお二人。
改めて農家の方々の昨年からの苦労を伺い、
いたたまれない気持ちになるとともにもっともっと役に立てるよう活動していかなければならないと意識が高まりました。

 

猛暑の中でも畑に入り、一生懸命に作られた藁谷トモ子さん、藁谷スミ子さんの野菜は、すごく美味しいです。

これまで約1年間、会津や県南、いわき地域を取材してまわり色々と食べさせて頂いていますが美味しい物ばっかりで『福島県産』のレベルの高さを感じるとともに強く誇りに想います。

 

おしまい


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