原発事故による福島県農業に関する問題。
それは単に農業生産者だけの問題ではなく、その農産物を加工するなど、
いわゆる「食」に関する産業すべてに降りかかった問題です。
今回は、創業時は味噌・醤油製造業からスタートしながらも、
伝統を守りながら現代の食生活にマッチした新商品の開発に取組み、
会津地方産の農産物を積極的に活用している、
会津天宝醸造株式会社 代表取締役社長 満田盛護(みつたせいご)さんにお話を伺いました。
今回は-その2-です。
その1 皆さんの応援が支えに (2013年5月20日公開)
その2 「自分」が「変わる」 (2013年5月21日公開)
その3 信頼を失わないために (2013年5月22日公開)
会津という場所
業種によっては漁業をはじめ厳しい状況に追い込まれている方もいらっしゃいますが、
ここ会津地方は原発からもかなり距離があるということ、
そして放射性物質による汚染も非常に低いということで、
住んでいる方々は比較的安心感を持たれて住まわれておりますので、
大きな影響というものはなかったのではないかと思います。
逆に、会津に避難されてきた方が多くいらっしゃったくらいですので、
広い福島県の中でも会津は避難者を受け入れるであるとか、
食料の供給を行うであるといったポジションであったとおもいます、と満田さん。
県外からは「福島県」という大きいくくりで話されがちですが、
地方・地域によって全く状況が違うということを、私も何度もお話しさせていただいています。
満田さんがおっしゃったとおり、会津地方は震災・原発事故による被害も非常に少なく、
地域のチカラもしっかりありますので、大きな被害に苦しんでいる地域のためにも、
会津に頑張って欲しいと私は思っています。
基本の徹底
続いて、発災後の具体的な取組み・行動についてお話を伺いました。
まず、基本の徹底です。
食品メーカーにとっての基本の徹底というものは、市場の正確なリサーチ・マーケティング。
そしてその変化に対してどう”適応”していくかということが、ベースになります。
その基本に関して正確に作業を行っていくということ、
その中から変化をとらえてどういう商品を出していけばいいか・改善していけばいいかということが出てくるわけです。
未曽有の大危機に対する取組み・行動の答えが「基本の徹底」というのは正直意外でした。
しかし、「市場の変化に適応する」という基本の前では、
その未曽有の大危機も「変化」の一つに過ぎないと考えれば、冷静・客観的な対応が取れると思い至り、
深く納得しました。
「自分」が「変わる」
震災を受けての大きな変化というのは、置いてあるものも客層も買う時間帯も違うということで、
スーパーマーケットとコンビニエンスストアは競合しないと言われていたことが変わったということです。
大震災後、お年寄りの方々がコンビニに多頻度に行かれるようになったため、
いままで客層として取り込むことが出来なかった世代を取り込むことで、コンビニの売れ筋が変わってきたのです。
それに合わせて、コンビニにいらっしゃるお客様に喜ばれる食品がどうあるべきかということで、
商品を変えたり容量を変えたり味を変えたりという部分の作業をやっております、と満田さん。
得てして、以前の状況に戻すにはどうすれば良いか、今まで通り買ってもらうにはどうすれば良いかといった、
「過去」に戻すそして「周り」を再度「変える」視点で動きがちな中、
「今」の状況を冷静に分析しそれに合わせて「自分」が「変わる」という満田さんの視点は、
復興に携わる方々全てに参考にして学んで頂きたい視点だと、
私は強く感じました。
次回、信頼を失わないために は5月22日(水)にお届けします。