知識は最良のワクチン
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もう一方の有機栽培農家の東山さん。
東山さんの顧客も原発事故後に減ったそうです。
しかしながら、現在では震災前に戻ったとのこと。
なぜか?お話にはそのヒントがあふれていました。
今回の事故に関する理論的な解説、放射性物質の圧倒的な知識、
農作物の栄養吸収の化学的メカニズムと放射性物質吸収の関連性・・・
とにかく、科学的な知識量が半端ではないのです。
それもそのはず、東山さんは東北大学理学研究科・物理学専攻の大学院生から有機栽培農家になった方なのです。
「知識は最良のワクチン」と東山さん。
伝える側も受け取る側も「よくわからない」から混乱するともおっしゃいました。
また東山さんは「百姓だより」という冊子を、
お客さんへの手渡しおよびホームページで公開するなど、頻繁に情報発信をされていたのですが、
こちらでも事細かくお伝えするなど、生活者の方々とのコミュニケーションを重視。
そこでの一言、情報を伝えることはワンクッション置くと難しい、
“フェイス トゥ フェイス” が大事、と。
生産者自身が専門的知識をもち説明することで、生活者の方々の信頼を得ることが出来る。
まさしくその通りです。
もちろん東山さんのようなレベルまで到達することは難しいかもしれませんが、
我々福島県の生産者は放射性物質などについて
最低限の知識を持つことが求められていますし、実際に勉強会なども数多く開催され、
みな積極的に参加しています。
自らの生産物に対する質問に対して明確に答えられる、
このコミュニケーション能力が信頼回復の大きなキーであると再認識しました。
本物の農業を知ってもらう
有機栽培農家を取り巻く厳しい状況の中でも、
佐藤さんは将来に向けて行動を起こしているとおっしゃいました。
まがいものではない、本物の農業を都会の人に見せたい。
良くある昔ながらの農業を見せるのではなく「今」の農業を見せたい。
それを実現するために「農家民宿」の許可を取り、着々と計画を練っていらっしゃいました。
植え付け時と収穫時を見せるだけでは本物の農業は分からない、
成長している間も見せて一年を通して体験してもらう。
ありのまま、野菜ひとつ・卵ひとつにも価値があることを知ってもらいたいと。
佐藤さんも東山さんも、このようなことが起きてしまったからこそ、
生活者の皆さんとのコミュニケーションを見直し大事にしていきたい、
そこに共通の考え方があると思いました。
そして私もまったく同意見です。
それぞれ手段は違えども、新たな関係・未来を構築すべく行動する方々。
私も俄然やる気が出てくる、そのような得難いご縁でした。
次回、『シリーズ現場に聞く~株式会社ジェイラップ 代表取締役 伊藤俊彦さん 編』は5月13日(月)にお届けします。