各業界のキーパーソンにお話をお聞きする「野菜ソムリエ藤田が聞く」。
今回はシリーズで、実際に農林水産業およびその加工に携わっている方々からお話を伺う、
「現場に聞く」を5回に渡ってお送りします。
第一弾 キノコ生産者 中島康雄さん (2013年5月7日公開)
第二弾 水産加工業者 小松浩二さん (2013年5月8日公開)
第三弾 水産加工業者 賀沢信さん (2013年5月9日公開)
第四弾 有機栽培農家 佐藤吉行さん・東山広幸さん (2013年5月10日公開)
第五弾 株式会社ジェイラップ 代表取締役 伊藤俊彦さん (2013年5月13日公開)
今回は-第三弾-
いわき市四倉にて20年近く干物を作り続けてきた「有限会社ニイダヤ水産」の代表取締役 賀沢信さんです。
津波が全てを押し流した
「ニイダヤ水産」は地元四倉で水揚げされた魚を主に干物に加工して販売していました。
作り方も魚をおろすのも一枚一枚手作業で、保存料など添加物を使わない無添加な干物づくりにこだわっています。
しかし2011年3月11日、東日本大震災に伴う大津波で水産加工所が被災。
ご本人は高台に避難して無事だったものの、海のすぐ近くだった加工所は津波によって全壊し、
加工用機材もほぼすべて使用できなくなってしまいました。
福島県においてはことに原発事故ばかりがクローズアップされますが、
地震・津波による被害も想像を絶するものがあるということを、まざまざと見せつけられました。
人とのつながりそして再起
賀沢さんは避難所でお手伝いをするなどして日々過ごされていたそうですが、
営業再開をほぼ諦めていらっしゃったそうです。
そんな中、以前よりお付き合いがあったNPO法人の方よりもう一度干物を作って欲しいと強い要望がありました。
営業再開のために必要なものは何か?と問われたため、
作った干物を真空パックにする真空包装機があればと答えたところ、、
その方が中心になって購入のための資金集めがスタート、実際に寄付までこぎつけます。
また、被災地支援にできる事をやりたいという新潟大学の学生たちとの交流とそこから始まる支援、
新潟の粟島に干物の技術提供を行い粟島の魚介類を使用して「ニイダヤ水産」で加工して販売する相互協力、
地元金融機関の資金面での協力など多くの方の支援が集まり、2012年の9月に再オープンを果たしました。
震災・原発事故によって福島県の農林水産業・加工業から手を引いて行った人や業者も、たくさん目の当たりにしてきました。
しかし、以前と変わらず紡がれる縁と新たに紡がれる縁も、同じように見てきました。
これだけ苦しい状況の今の福島県に“可能性を感じ”繋がっていく縁は、
間違いなく今後も末永く続いていく、その実例がここにあります。