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シリーズ現場に聞く~水産加工業者 賀沢信さん 編 -その2-

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注目されることの苦悩

しかし、全てが成功裏に進んでいるのかというとそういうわけではないこともお話してくださいました。

営業を再開することは出来たが借りたお金をかえすのはそう簡単なことではないこと。
流通コストも低く鮮度も良い地場産の魚を出来れば使いたいが現状がそれを許さず、
他県産や海外産の物は質が違うので、試行錯誤しなければならないこと。

そして、うちは運よく営業再開できてメディアからも注目されたけど、
まだまだ再開出来ない業者がいっぱいいる、そういうところに注目して助けてあげて欲しい、
そういった内容のことを聞いた時には、一瞬言葉に詰まりました。

自分のところだけうまくいって良いのだろうか?そういった苦悩は、
被災されていない方々にはなかなか理解してもらえない所かもしれません。
しかし、誰かが先鞭をつけて成功例を創ることが復興への第一歩ともいえます。

得てして、注目されることは、
「大いなる悲劇・被害者」か「苦難を乗り越え復興へ向かう希望、ヒーロー・ヒロイン達」
といった極端なものになりがちです。
しかし今の福島県の状況は、
そのような単純な切り口では伝えきれないということを皆さんにご理解いただきたいと、
私はお話をお聞きして思いました。

 

ある親子のために

それでも賀沢さんは、自分一人では出来ないけれど、
様々な人の力を借りて再開することが出来たからやれるだけやる、とおっしゃいました。

そして、一つの忘れられない出来事を聞かせてくれました。

ある日、母親と幼いお子さんが来店してすぐに食べられる干物を買って行かれたそうです。
そのまま帰らずにいたので見ていたら、外でおもむろにおにぎりを取り出し、
干物とそれぞれ片手に持って、海を眺めながらお昼にしていた、その景色が脳裏に焼き付き、
その親子のために海の方を見て干物を食べながらくつろげる場所を作りたいと思った、と。

それを基に構想を練って実現に向けて動いているのが「おさかなカフェ」です。
子ども達が将来干物を食べるきっかけになればいいとも思って、と微笑んでいらっしゃったのが印象的でした。

素朴ながらなんとも素敵な話ではありませんか。

賀沢さんは人を惹きつける何かをお持ちなのかもしれません。
その親子との出会いも必然だったのでしょう。

私には、風雨にさいなまれず親子が微笑みながら海を眺めて談笑する
そしてその傍らに賀沢さん自慢の干物が・・・その光景が見えた気がします。

 
 

 
 
次回、『シリーズ現場に聞く~有機栽培農家 佐藤吉行さん・東山広幸さん 編』は5月10日(金)にお届けします。


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