各業界のキーパーソンにお話をお聞きする「野菜ソムリエ藤田が聞く」。
今回はシリーズで、実際に農林水産業およびその加工に携わっている方々からお話を伺う、
「現場に聞く」を5回に渡ってお送りします。
第一弾 キノコ生産者 中島康雄さん (2013年5月7日公開)
第二弾 水産加工業者 小松浩二さん (2013年5月8日公開)
第三弾 水産加工業者 賀沢信さん (2013年5月9日公開)
第四弾 有機栽培農家 佐藤吉行さん・東山広幸さん (2013年5月10日公開)
第五弾 株式会社ジェイラップ 代表取締役 伊藤俊彦さん (2013年5月13日公開)
今回は-第四弾-
いわき市にお住まいの有機栽培農家、佐藤吉行さんと東山広幸さんです。
頑張ってきた人ほど被害が大きいなんて
佐藤さんは原発事故を受けての厳しい現状をお話してくださいました。
これまで取引していたお客さんが10分の1まで減ってしまったこと。
そして、連携していた野菜販売業者から、見舞金を送ってもらったものの、その後取扱量を大幅に減らされ、
今は少量ながら何とか関係を繋いでいること。
どれもこれもあまりにも厳しい、厳しすぎる現状でした。
これは何故か?有機栽培農家さんの取引している個人・業者はみなさん、
健康・安全を重視し大切にする志向の方々です。
つまりその方々にとって、
原発事故に伴う放射性物質の問題は受け入れることのできない大きな問題なのは当然のことなのです。
きっと、みなさん佐藤さんのことを思うと苦しくて仕方ないけれども、
やむを得ず行った取引をやめるという決断だったことでしょう。
つまり、佐藤さん・いままで購入してきた方々、どちらも何も悪くないのです、どちらも被害者なのです。
佐藤さんは自分の想いはもちろんのこと、その方々のために全力を尽くして生産し、
そして努力して顧客を開拓してきたことでしょう。
佐藤さんのように努力されてきた方ほど大きな被害を受ける、
このような理不尽なことが許されていいはずがありません。
私は、こういう方々に対する対策こそ、きちんと行われるべきと強く思いました。
一人でも二人でも来てくれる以上は
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それでも佐藤さんは、一人でも二人でも来てくれる以上は継続することが大事とおっしゃいました。
そしてこういった状況であっても沈んではいられない、全力をもって栽培する。
そうしないと自分がダメになる。
泣き言言ったら自分に負ける、自分との闘いなんだ、と力強く言葉を発しました。
この不屈さの源はいったい何なのだろうか?大地と共に力強く生きてこられたからだろうか?
私にはわかりません。
しかし、誠実な心の姿勢の延長線上にこの言葉があるということは分かります。
そしてそれは震災以前からそうだったのでしょう。
私は、同じ農家としても、自然と応援したい気持ちになりました。