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ふくしま市場 店長 櫻田 武 さん 編 -その3-

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自治体アンテナショップ。

主に東京において地方自治体の特産品を紹介することを主たる目的としている店舗で、
最近首都圏在住の方の支持も高まっているようですが、福島県には全国的にも珍しい、
単独で店舗を構えない「スーパー内にある」アンテナショップがあります。

そのアンテナショップの名前は「ふくしま市場」。

東京都江戸川区にあるイトーヨーカドー葛西店内の1階に店舗があります。
今回は、震災・原発事故後に実際に卸業者の方や首都圏の生活者の方々と実際に接し、
生の声を聴き体験してきた、櫻田 武店長にお話を伺いました。

 

今回は-その3-です。
その1  全国的にも珍しいアンテナショップ (2013年1月22日公開)
その2  福島が元気だということを見せたい (2013年1月23日公開)
その3  「責任感」という価値       (2013年1月24日公開)
その4  福島の誇りをもって        (2013年1月25日公開)

  

 
 
 

原発事故の影・・・そして信頼

しばらくして厳しい現実が「ふくしま市場」にも影を差します。

残念ながら、小さいお子さんがいらっしゃるお母さま方は「ふくしま市場」に訪れなくなりました、と櫻田店長。
ただ、「福島の産品は検査してあるのは分かるけれども、小さい子どもがいるのでごめんなさい、行けません。」
と丁寧にごあいさつして下さる方もいらっしゃって、「逆に信頼関係があるんだとありがたかったです。」
ともおっしゃいました。

ともかく、震災以後に生産された産品に関しては、検査してもらってその後に店頭に並べるということ、
生産者・出品者の方とコミュニケーションをこまめに取り合うことを徹底していました。

しかし、次々に発表される出荷制限・摂取制限の情報によって、
あたかも全ての産品が駄目であるように思われたのは本当に痛かった、と櫻田店長。

確かに当時はそういう状況でした。
情報発信の難しさがここから伺えるとともに、今後の糧としなければならない、と強く感じました。

ただ、起こったのはそれだけではありませんでした。

福島県産のものが否定されればされるほど、逆に支援したいというお客様が大勢いらっしゃったのです。

そして、様々な企業からも支援の申し出が数多く届き、実際にお話を伺っていたバックヤードにも、
そういった企業から申し出を受け、福島産品を箱詰めして送るための段ボールが山積みにされていました。

そこにあったのは支援したいという気持ちと、「信頼」。

「ふくしま市場」が地元に密着し、そこでいままで築き上げてきた「信頼」がそこにはあったのです。

 
 

「責任感」という価値

その後もその「信頼」にこたえるためにも、「徹底的に検査を実施するしかないんだ。」
と生産者の方に言い続けたそうです。

「あなたが作ったものはあなたが責任を負わなくてはいけない。
それだけではなくもし何かあったとき、あなたの失敗は福島県の責任になり、
福島県全体が割に合わないことになるんです。」そうやって自主検査を行ってもらっていたという櫻田店長の言葉。

この言葉はズシリと私の心にのしかかりました。
もちろん今までも自分の生産物に責任を持つということの重要性は理解していました。
しかし、この震災・原発事故によって、福島県の生産者はそのことが骨の髄まで身に染みたのです。
このこと自体は大変なプレッシャーであり本来は負うべきものではなかったのかもしれません。

ただ、この経験をしたからこそ「自分の生産品に対する責任」という意識が、
他の地域とは比べ物にならないくらい、高まったのだと私は思います。

徹底した検査と生産者の努力もあり、多くのお客様の理解を得て商品は売れていきました。

そのこともあって、生産者の方々はあきらめることなく、強い意志と意識をもって続けることが出来ました、と櫻田店長。

そして「ふくしま市場」だけではなく、
各地で移動販売が行われたり、ネットで通販した福島県産のものが爆発的に売れていくなど、
支援の輪が広がっていくのがありがたかったです、そのお話をされるときの櫻田店長の笑顔は輝いていました。

 
  

次回、福島の誇りをもって は1月25日(金)にお届けします。


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