いわき市内郷。
福島県内の建造物で唯一国宝に指定されている白水阿弥陀堂がある事でも有名なこの地に、
江戸の世から続く酒蔵「四家酒造店」があります。
「真酒躬(まことのさけのみ)」と自称するほどの酒好きであった初代又兵衛が酒造りを始めたのは弘化2年(1845年)。
弘化2年と言えば、『八重の桜』で話題の新島八重が生まれた年であり、数年後には黒船が浦賀に来航、
激動の幕末期へと突入していくまさに歴史の変動期。おりしも『東海道五十三次』の浮世絵師・歌川広重が福島に逗留し、
『陸奥安達百目木駅八景図版木』で当時の風景を描き出していた頃です。
若干話が脱線してしまいましたが、、、
そんな歴史を感じさせる建物を囲んだ漆黒の塀を横目に道を往くと、酒蔵の証とも言える杉玉が吊るされた荘厳な門に迎えられます。
歴史とお酒好きな僕は最初から感動を覚えつつ、取材させて頂きました。
四家酒造を代表する銘柄は初代の名を取った「又兵衛」。好間川の水で仕込まれたその味は端麗で余韻豊かと評判で、
三國連太郎氏はじめ県外のファンも多いものの、そのほとんどがいわき市内へ出荷されています。
「やはり地元の方に愛飲して頂く事が大切です。震災前も後もそういったお客様に支えられています。」
と話すのは四家久央さん。
懸念されていた震災の影響も乗り越え、平成23年に行われた全国新酒鑑評会では見事金賞を受賞したそうです。
今回は、その仕込みの様子を特別に見学させてもらいました!
厳かに佇む酒蔵の中はしんとした静けさに包まれています。
仕込みを行うのは平成23年度の福島県技能者表彰「県の名工」に選ばれた杜氏・菅原栄一さんを筆頭としたベテランの方々。
仕込み水。水ってやはり水色なんですね。(当たり前かもしれませんが)
これは醪(もろみ)といって、水・蒸米・麹などが加えられたお酒の母体となるもの。
泡が、柔らかな音を奏でながらはじけています。まさに発酵の神秘。
いわき市内で仕込みから酒造りを行っている蔵は2軒しかないそうですが、
丹精込められた一つ一つの仕事が、長く愛される味を造る秘訣なのだと感じました。
そんな四家さんが今年取り組んでいるのは、地元・いわき産酒米を使った酒造り。
復興を願い、いわき市川部町で収穫された「五百万石」を使用した地酒「がんばっぺ!いわき 絆」を醸造します。
純米酒をいわき市内にあるもう一軒の酒造店である太平桜酒造が、吟醸酒を四家酒造店がそれぞれ醸造し、
3月頃の販売を予定しています。
念願であった地元の酒米を使った酒造り。
まだどんな味になるかもわからない手探り状態との事ですが、完成が楽しみです!
美味い!のために。
合名会社四家酒造店(しけしゅぞうてん)
【住所】〒973-8408 いわき市内郷高坂町中平14番地
【TEL】0246-26-3504 【FAX】0246-26-3560