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磐梯山の麓で育つ 法正尻ほうれん草(磐梯町)

今回は、磐梯町法正尻地区で栽培されている、「法正尻(ほうしょうじり)ほうれん草」をお届けします。

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お話を伺ったのは、ほうれん草生産部会部会長の金田邦広さん。
若干33歳という若き部会長です。

金田さんは高校を卒業されると同時に、ニュージーランドへ農業留学されたそうです。
しかし、その時は農業をやろうとは思っていなかったとか。
20歳で帰国した当時は、実家のほうれん草畑は肥料の与え過ぎで、収穫量が減っている状態でした。
このままではダメだと感じた金田さんは、そこから農業に向き合い、現在に至ったそうです。

法正尻地区は標高520mの磐梯山の麓に位置する冷涼な地区であり、
ほうれん草が品薄になる暑い時期に活躍する地区です。
5月から11月までの長期間、収穫を行っています。

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わずか10戸の小さな集落の法正尻地区ですが、9戸の家でほうれん草を栽培しています。
金田さんの他にも若い後継者は育っています。
そのような背景には法正尻地区の進歩的な取組みがあります。

まず、普通は農繁期は無休で働きますが、法正尻地区では毎週土曜日が農休日になっています。
そして、「定年制」を採用し、60歳になると地区の運営や農業経営を後継者に譲るという規則もあります。
さらに、近隣の町村から女性の高齢者を雇用し、収穫作業を手伝ってもらっています。
このような、就労環境の改善や後継者が育ちやすい環境が地区全体の活性化につながったのです。

およそ100年前に磐梯山が噴火した際の火山灰で出来た、ミネラルをたっぷり含んだ「黒ボク」と呼ばれる
土で栽培されているほんれん草の味や栄養価の高さも評価されています。

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風評被害の影響についてたずねてみました。
震災直後は、栽培しているほうれん草自体が出荷制限となり、播種時期を遅らせたり、
制限解除に向けたモニタリング検査への検体提供など、緊急的は対応が強いられました。
2011年5月11日に出荷制限が解除された以降は、それほど、価格が下がらずにいましたが、
その年の7月に起きた牛肉問題のあたりから一気に価格を下げ、厳しい状況が出荷終了まで続きました。
今年の出荷開始以降、現在も価格は持ち直せない状況です。
しかし、県内での消費と8月からは学校給食でも使ってもらって、何とかしのいでいますとのことです。

県によるモニタリング検査の他にも土壌検査や収穫物の放射性物質検査を民間に委託して実施し、
安全に対して取組んでいます。

金田さんに、今後の目標を伺ったところ、「現状維持」という言葉が出ました。
というのは、この10年以上をかけて、必死で今の形を作りあげたということです。

平成22年度には、福島県から土づくりや減化学肥料・減農薬などの環境にやさしい栽培に取組む農業者に
認定される「エコファーマー」を、9戸全ての農家が受けました。

何事もみんなが一丸となって行ってきたことが成功の秘訣なのだと思いました。

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金田さん、ありがとうございました。


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