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舘岩地区の農 南会津舘岩紀行 ~地域資源を活かしたまちづくりの取り組み~ -その3-

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南会津舘岩紀行 ~地域資源を活かしたまちづくりの取り組み~

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自らの“ふるさと”をもう一度見つめなおす取組が福島県内各地で生まれています。
 
南会津舘岩地区もその一つ。食と農業、そして伝統を基軸においた街づくりの動きが活発化しています。
 
南会津舘岩地区は福島県の南西部に位置し、以前は舘岩村として独立した自治体でした。2006年3月20日に南会津郡田島町・伊南村・南郷村と合併し、南会津町が誕生しました。会津高原たかつえスキー場を抱え、少年自然の家が開設された関係で埼玉県さいたま市(旧大宮市)と友好都市となり都市交流が進むなど、関東からの玄関口として豊かな自然を生かした農業と観光業で栄えてきました。
 
舘岩地区は何に活路を見出したのか。それは自分たちの地域が持つ地域資源を“外部の目”を取り入れながらさらに磨き上げていくことでした。その動きを追っていきます。
 
 
今回はその3です。
その1 舘岩地区の食                        (2016年5月2日公開)
その2 舘岩地区の魅力あるまちづくり                (2016年5月3日公開)
その3 舘岩地区の農                        (2016年5月4日公開)
 

南会津舘岩地区は豊かな自然に恵まれ、伝統ある食材そして食文化が受け継がれている地区です。その一方で、日本全国の中山間地域が抱える問題である農業従事者の高齢化や後継者問題、耕作放棄地の増加などに悩まされてきました。
しかし、舘岩地区の農業を支えていく力強い担い手も確実に存在します。その方々のお話を伺いました。

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会津高原たていわ農産有限会社

会津高原たていわ農産有限会社は、平成14年に設立された町出資型の農業法人で、経営面積は水稲の直営が25ヘクタール、ソバの直営が50ヘクタール、そのほか地域の伝統食材である赤カブや行者ニンニクもそれぞれ2ヘクタールと、舘岩地域の重要な担い手として活動しています。
 
代表取締役の星安彦さんからは、
「農作業だけではなく、ソバのPRと農地の保全・除草なども行なっています。前沢地区にある“そば処 曲家”も経営しています。」

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そば処曲家のそばセット

さらに、
「冬期間は県道、町道の除雪作業も受託しています。南会津舘岩地区は日本でも有数の豪雪地帯で、道路の除雪が終わったと思って後ろを振り向くと新たな雪がすでに降り積もっているほどなのですよ。」
 
このように農作業をはじめとして地域の食の拠点を固め、住民生活を安全安心なものにする作業まで行っています。

「地域内にある、さいたま少年自然の家にお米を提供させていただいていますし、これからはソバづくりも元気にしていきたいと考えています。」
 
と地域とのつながりを今後さらに強めていこうと考えていらっしゃる星さん。
 
ぜひ皆さんにも、地域の農業のみならず生活を支える担い手組織があるということを知っていただきたいと思いました。

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株式会社アグリファーム拓

南会津町が全国に誇る名産品“南郷トマト”。NHKと全国農協協働組合中央会、都道府県中央会主催の第44回日本農業賞の集団組織の部で見事大賞に輝くなど、その名声は高まるばかりです。

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舘岩地区にもその南郷トマトを生産する若きホープがいらっしゃいます。その方が芳賀 拓也さん。トマトづくりに情熱を注ぎこんだお父様の跡を継ぎ就農、2010年には株式会社アグリファーム拓を設立し、地域農業の若き担い手として日々生産に勤しんでいらっしゃいます。
 
「南会津はトマトの栽培に気候があっています。甘いだけではなく糖分と酸味のバランスである糖酸比が抜群に良くなるんです。」
 
その言葉からはトマトづくりに対する誇りと自信が伺えます。

会社設立当時の「地域に根ざした会社をつくる」という想い。トマトの加工品や観光資源としての農業の可能性を模索しながら日々邁進しています。
 
また、地域の雇用を生み出すだけではなく後進の指導にも熱心に取り組んでいて、現在も2人の新規就農を目指す人材を受け入れています。
 
「南郷トマトの強みは生産・流通・販売が地域ぐるみでしっかりと構築されており、ビジネスモデルとして確立しているところだと思います。」と芳賀さん。
 
そうなれば当然、新規に就農を考えている方にとっても安心して飛び込める地域になりますね。
 
また、夏秋に南郷トマトでしっかり生計を立て、冬場はスノーボードやスキーに没頭する、そんなライフスタイルを送っている若手生産者がいるという興味深い話も聞きました。
 
集団組織である南郷トマトの取組は日本の農業の今後の在り方に大きな可能性を示していると思いました。

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南会津舘岩地区を巡って

これまで挙げてきたものは何か特別に立ち上げたものではなく、地域に連綿と受け継がれてきたものばかりです。それなのに、これほどまでに魅力的で絶対に都会ではなしえないものばかりだというこの南会津舘岩地域の地域資源の豊かさに驚きました。
 
実際に、旧大宮市・旧舘岩村の時代に友好都市関係にあったご縁で立地している「さいたま市立舘岩少年自然の家」では、この舘岩地域の豊かな自然と食と農を通じて日常生活では味わうことのできない体験を行い、教育と心身の育成に大いに活用されています。
 
みなさんもぜひ南会津に訪れていただき、それぞれの視点でその豊かさに触れていただきたいと思います。

 


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