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自らの“ふるさと”をもう一度見つめなおす取組が福島県内各地で生まれています。
南会津舘岩地区もその一つ。食と農業、そして伝統を基軸においた街づくりの動きが活発化しています。
南会津舘岩地区は福島県の南西部に位置し、以前は舘岩村として独立した自治体でした。2006年3月20日に南会津郡田島町・伊南村・南郷村と合併し、南会津町が誕生しました。会津高原たかつえスキー場を抱え、少年自然の家が開設された関係で埼玉県さいたま市(旧大宮市)と友好都市となり都市交流が進むなど、関東からの玄関口として豊かな自然を生かした農業と観光業で栄えてきました。
舘岩地区は何に活路を見出したのか。それは自分たちの地域が持つ地域資源を“外部の目”を取り入れながらさらに磨き上げていくことでした。その動きを追っていきます。
本日より3回に渡ってお届けします。
その1 舘岩地区の食 (2016年5月2日公開)
その2 舘岩地区の魅力あるまちづくり (2016年5月3日公開)
その3 舘岩地区の農 (2016年5月4日公開)
伝統ある自然に囲まれた舘岩地区をはじめとした南会津地方には、独自に発達した食文化が多数あります。
会津地方といえばソバが有名ですが、麺類としてのソバだけがソバの魅力ではありません。南会津地方では蕎麦粉ともち粉を混ぜた生地をゆでて“じゅうねん(エゴマ)”をまぶした“はっとう”という料理があります。
その名前の由来は「こんなにおいしいものは祭りやお祝いの日以外に食べてはならない」という殿様の法度(はっと)という説もあります。確かにソバの香ばしい香りともちもちとした食感は絶品。さながら南会津地方のソバクレープといったところでしょうか。
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みなさんはお餅をつくときは“もち米”を使う方が多いでしょうが、こちらの地域には普段炊いて食べる“うるち米”をお餅にしたものがあります。それが“ばんでい餅”。大きな木の切り株(盤台)の上で叩いて作ったことからこの名前が付いたそうです。できた餅にじゅうねん味噌や岩魚味噌をつけていただきます。囲炉裏であぶって少し焦げ目がついたものも風味があって美味とのこと。一般的なお餅と比べ、あっさりとした食感と噛み切りやすさは想像以上に爽快。お米の新たな可能性を見たようでした。
魅力的なデザートもあります。それが“ぜんびん”。一見お汁粉のようですが、その中にはカボチャやサツマイモ、お団子などが入った贅沢な一品。“ぜんびん”とは美人という意味で、普段の農産物を美しく・美味しく食べるための生活の知恵から生まれたと伝えられているそう。まさに先人の美しい知恵の結晶といえるのではないでしょうか。
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舘岩地区ならではの農産物もあります。それが“舘岩の赤カブ”。舘岩地区で長年栽培・種取りされてきた在来種で、やわらかい赤紫色をしています。それを漬物にすると鮮やかな赤色に!その姿を見ただけでも美しさに魅了されてしまいます。舘岩地域以外で栽培すると赤くならないかも?と言われるほど地域に根付いた品種で、ほとんどが地元で消費されてしまう幻のカブです。収穫時期は晩秋ということです。
そして美しい清流があれば当然川魚も美味しいのです。渓流釣りのスポットも多数ありますし、イワナのフルコースを食べることが出来る旅館もあります。囲炉裏で焼いた塩焼きはもちろん、刺身や運が良ければ卵と白子まで!それを肴に美味しい地酒を飲み温泉にゆっくりつかる…これ以上の贅沢な時間はないですよね。
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イワナの塩焼き
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イワナの刺身
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イワナのカルパッチョ
このほかにも山菜やキノコなど数え切れないほどの魅力的な食が目白押しの舘岩地区。その食は教育の現場にもしっかりと活用されています。
地域の学校給食では地域の食材をふんだんに使用、それだけではなく月別行事食として山菜料理や川魚料理、郷土料理を提供し、地域の食文化を美味しく学ぶことで食への関心を高める指導が行われています。
農家さんも、自分の作った農産物が子どもたちの給食に使われているということがやりがいに繋がっているとのことで、地域の中で良い相乗効果が生まれているようです。
地元の農家さんとの食材発注に関する業務は、ロットや収穫時期の点などで難しいところがあるそうです。コーディネートしてくれる人がいればとのことでしたが、これはどの地域にも言えることで、逆に言うとここにビジネスチャンスがあるとも言えます。我こそは!という方がうまくコーディネートしてくださったら、舘岩地区発の地域の食と教育の連携モデルが全国に発信できるかもしれません!?
この豊かな食はまさにこの地域ならではのものであり、この地に来ないとその本質をとらえることは難しいかもしれません。ぜひ足を運んでいただきたいと思います。
次回、舘岩地区の魅力あるまちづくり は5月3日にお届けいたします。