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近くの海がどうなっているのかを科学的に伝えたい 環境水族館アクアマリンふくしま 「調(た)べラボ~いわきの魚を食べてみよう~」の取組

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環境水族館アクアマリンふくしま 「調(た)べラボ~いわきの魚を食べてみよう~」の取組

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福島県の魚介類は、2015年5月現在、64種類が試験操業の対象魚種になるなど、少しずつ明るい話題が増えています。
 
このような中、“福島県で漁獲される魚をみなさまの目の前で捌いて、放射性物質量を測定することによって、現在の福島沿岸の魚介類の安全性を理解していただくイベント”として、「調(た)べラボ ~いわきの魚を食べてみよう~」が開催されています。
その開催場所は“環境水族館アクアマリンふくしま”。その正式名称が“ふくしま海洋科学館”という通り、水族館というだけではなく、環境教育活動においても高い評価を得ている同館。そのアクアマリンふくしまによる、福島の海に関する取組について伺いました。

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会場内のパネル
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来館者の様子
 

近くの海がどうなっているのかを科学的に伝えたい

私が伺った時期は夏休み期間ということで、子供を中心に大勢の来館者で賑わっていました。
 
“調(た)べラボ”の会場場所は、順路の途中にありました。
理由を聞いてみると、“通りすがりの人に気軽に入ってもらって、福島の海の現状とその理由を知ってほしいから“とのこと。

 

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中に入ってみると、今まさに魚を“さばいて”いるところ!そこに子供たちが集まっていました。
 
「この小さな石みたいのが“耳石(じせき)”。この耳石の大きさによって魚の年齢が分かるんだよ。」
との解説を聴いて、驚きの声が上がりました。子供たちの目は魚にくぎ付けです。
解説をするのは、アクアマリンふくしまの獣医の富原 聖一さん。富原さんは、その後も、魚の生態や福島における水揚げ時期などを丁寧に解説していきます。

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「このアイナメは33cmですから原発事故後に生まれた個体かな。となると事故直後の高濃度汚染水の影響は受けておらず、現在の海水の状況によります。」
との言葉。また、小型のアイナメは、大型のアイナメに比べて岸に近い方に生息するとの解説もありました。
このアイナメはその場で放射性物質検査が行われ、検査結果は検出限界値未満(N.D.)でした。
魚の生態を知ることによって、より理解が深まったと感じました。
 
会場のパネルでは、そういった魚種ごとの生態と放射性物質の状況・その理由などがわかりやすく解説されていました。

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富原さんは「風評対策というよりは、近くの海がどうなっているのかを科学的に伝えたいと思ったのです。それが我々の役目だなと。」
 
そのうえで、

「魚の生態が分かると、なぜこの魚種の放射性物質検査結果が現在こういう状況になっているのかが説明できます。
魚の生態と放射性物質の両方に興味をもって学べる。別々じゃなくて全部繋がっているのです。
それに子供たちは生き物好きですからね、とてもいい反応があります。堅苦しくなく聞きやすいのかな。」
 
と微笑まれる富原さん。

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本当に子供たちは生き物が大好き。
 
「ほらサメだよー。これはアブラツノザメ。サメの歯を見てごらん。何重にもなっているでしょ。サメの歯は折れても次の歯が待ち構えていて生え変わる。
サメ肌って聞いたときある?ほらこれがサメ肌だよ。ザラザラでしょ。」
 
子供たちは大興奮。そばにいる大人たちの目も輝いていました。そして解説の中で放射性物質の計測結果とその理由を生態に基づいて説明していく。
一所懸命にメモを取る子も散見されました。

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そしてお昼ごはんには、試験操業で水揚げされた魚を使った料理が振る舞われます。あいにくこの日は天候不順によって試験操業の水揚げが無く、県外にあがった魚でしたが、“カツオの漬け”と“ホッキめし”という福島が誇る海の食文化で来館者の皆さんをおもてなししました。

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これは、自分たちの海をしっかりと知るという大切な取組だと感じました。
 
福島の海・魚介類は良くわからない・・・そのような思いにこたえる場所が福島にあります。ぜひ皆さんに訪れていただきたいと強く思います。
 
 
環境水族館アクアマリンふくしま http://www.marine.fks.ed.jp/index.html
調べラボ http://www.marine.fks.ed.jp/news/event/2015/2015taberabo.html
 
 
注)福島県海域のアイナメは、現在、国から出荷制限の指示がなされており、流通しておりません。


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