
福島県福島市の自然あふれる郊外に立地する国立大学法人福島大学。震災後、福島大学では「東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う被害に関し、事実を科学的に調査・研究するとともに、被災地の推移を見通し、復旧・復興を支援する」ことを目的に、震災直後の2011年4月13日“うつくしまふくしま未来支援センター(通称:FURE(フレ))”を設立し、活動してきました。

農学部がない福島大学ではありますが、未来支援センターにおいて産業復興支援の一環として“食・農復興支援”の活動を行っています。
今回お話をお聞きした小松知未さんは、北海道大学大学院農学博士後期課程修了で農業経営学がご専門。農業分野の復興支援担当として2011年10月に着任されました。
3年半にわたっての“現場”における活動を通して得られた知見をうかがいました。
今回はその4です。
その1 農業を支えたい (2015年5月25日公開)
その2 見えないダメージ (2015年5月26日公開)
その3 復旧から復興のターンへ (2015年5月27日公開)
その4 生産者から消費者まで、みなさんをサポートするために (2015年5月28日公開)
県内と県外では反応が違います
うつくしまふくしま未来支援センターの食・農復興支援担当として、「やり遂げたい」というお考えについて伺いました。
「一つ目として経営の再建、二つ目として組織的活動をどのように展開していけばいいのか、この2点に力点を置きたいと考えています
3年目には様々なデータがそろってきて、かなり自信をもって福島県産農林水産物の美味しさや品質の良さをアピール出来るようになりました。4年目・5年目は、さらなる発展の年だと考えています。」と小松さん。
その上で、2012年に県内の果樹農家さんの協力のもと消費者の方々にアンケートを取ったことについて。
「県内と県外の方では現状の認識がかなり違うということが分かりました。」と言及されました。

県内の方は情報も豊富にお持ちで、コメの全量全袋検査や果樹の放射性物質対策などについてある程度の知識もある。その得られた情報に基づいてこの品目は買う・買わないということを明確に判断されている、そのように解説いただきました。
「以上の点から、県内の方には“自信をもって地元のおいしさを発信してもらうきっかけづくり”というものが大事になってきます。地元の方に、“安心して食べていただけるよ”“福島にはおいしいものがたくさんあるよ”と伝えていただけるように、まずは地元の評価を得ることが大切です」と小松さん。
翻って、県外の方は、幅広く様々な考えをお持ちの方々がいる。
「ですから、いきなり産地の努力を事細かに説明することだけが良い対策ではないと思うのです。
産地全体が誠実に取り組んでいるという姿勢をまず分かっていただくこと、それから検査体制などを把握して頂けるような伝え方が必要となってくると考えています。」とおっしゃいました。
県内・県外の方では持っている・触れる情報量が全く違うということを念頭に置きながら、画一的ではない個別のアプローチが必要であるということは、重要な指摘であると感じました。
「福島県産農林水産物の美味しさや良さといった情報を乗せていく、揺るぎない土台を作りたいと考えています。」

想いと行動、そして幸せとは
最後に一言メッセージを頂きました。
「農家の方々には、産地全体の農家の数であったり生産物の量であったり、むこう5年10年はかなり厳しい数字が出てくるということを認識して頂きたいです。
ただ“核になる部分”、強いリーダーの想いが、共通認識となる・周りのサポートを得られる・現実の予算に結びつく、そういった状況が今だと思っていますので、その想いを行動にしていっていただきたいと考えています。」
厳しい状況であることは事実ですがだからこそ生まれた可能性がある、という力強いメッセージです。

また、実際に福島県産農林水産物を手に取る消費者の方へメッセージを頂きました。
「今回の原子力災害をきっかけに、皆さんが何を食べてどういう生活を送っていくのかとうことを、改めて向き合わなければいけなくなったと思います。
それぞれ自分の価値判断を、何を選んで何を食べるかを、自分の決めたものを食べる幸せというものを感じて頂ければと。
その中で福島県の生産者の真摯な取り組み、そして農林水産物の美味しさ・良さを知って感じて頂ければと思います。」
自分で決めたものを食べる“幸せ”その表現がとても印象に残りました。食べる幸せというものをもう一度、文字通り噛みしめたいと思いました。
「生産者から消費者まで、みなさんをサポートするために、福島大学うつくしまふくしま未来支援センターがありますので、何か新しい取り組みについて情報提供や支援がほしいといったときには是非大学に相談に来ていただきたいです。」
全力で行動し支えてくれる存在が身近にあることをとても心強く思いました。