2014年11月11日
創業180年の味噌醤油醸造直売店「金忠」さんに併設されている、江戸時代の味噌蔵を活用した趣のあるお店、「田楽喫茶 豆○（マメマル）」さんを訪ねました。
一般的に、建物としての蔵の寿命は300年といわれているそうです。
先祖が建ててくれたものを利用したいとの思いから、ほとんど改装することなく、味噌臼を再利用した囲炉裏や、味噌樽を改造したテーブルを使用してお店作りをしています。ノスタルジックな雰囲気が素敵ですね。
オーナーは「金忠」さんの7代目、井上篤さん。
カフェを始めたきっかけは、空き家になってしまっている蔵とレンガ造りの建物を再活用し、レンガ通りを活性化させ、将来的には若い人たちの働く場所を提供していきたいという想いからだそうです。
お店のメニューは、「金忠」特選の味噌・醤油を使用した田楽やスイーツ等。
味噌田楽はもちろんのこと、スイーツにも味噌や醤油が使用されています。
お手頃盛り合わせ（田楽4串＋小鉢＋味噌汁）1000円
味噌ソフト 350円
一番人気の「味噌ソフト」はしっかりと味噌の味がしますが、とても優しい味わいです。
例えるなら、和風キャラメルソフトという味でしょうか。甘さの中に、お味噌のコクを感じて、味に深みができていると思います
味噌を練りこんだプリンもあります。
こちらは味噌の風味はそれほど強くはないのですが、ビターなカラメルソースとお味噌の塩分がとてもマッチしています。
味噌プリン 350円
そして、一日限定７食の「豆○パフェ」には醤油が使用されています。
見た目は和風クリームパフェという雰囲気ですが、添えられている特製醤油をかけると、一気に味がグレードアップ。
アイスクリームと醤油はマッチすると聞いたことがありましたが、それは本当ですね！
お醤油の香りと味がアイスクリームとほどよく混ざり合って、甘辛の加減が絶妙な、かなり驚きの変化でした。
豆○パフェ 700円
さらに、田楽セットにはお味噌汁がついてくるのですが、味噌のまろやかな味に感動！
「お味噌ってこんなにおいしいものなんだ」と再認識しました。
それもこれも、加熱殺菌や加温を行わない無添加の生味噌と、土蔵の中でじっくり熟成された醤油だからこそ現れる風味なのですよ、とご紹介いただきました。しっかりとした味と風味を主張しつつも、素材やスイーツに寄り添っておいしい調和が生まれているのは、味噌と醤油そのものの良さという事も大きなポイントなのだな、と思います。
豆○さんで堪能した後は、おいしい味噌を求めて隣接している「金忠」さんの売店へ。
「金忠」さんの味噌は酒精、加熱殺菌、加温、添加物を使用していない、純天然の生味噌だそうです。
計り売りの味噌は種類豊富で迷ってしまうほど。色々と試食させていただき、私の好みにぴったりの少し甘めでコクがある味噌を購入しました。会津産の大豆、コシヒカリ米、天然塩を使用した無添加の「こだわり味噌」です。
「金忠」さんは老舗にもかかわらず、震災後は商品をことごとく返品されてしまったり、首都圏のお客さんが中心だったカフェも観光客が途絶え、お客さんが減少していったりしたそうです。
しかし、震災後も客足の途絶えない商売をしているところは、地元のお客さんを大切にしているお店だということに気づいたのだそうです。
「地元の人が大切にしているものこそ、外から訪れた人にも魅力あるものに見えるのだ。自分たちもそうなっていかなかくては！」と、いっそう地元を大切にした取り組みをしていくようになったそうです。
味噌と醤油は日本の文化です。
歴史のある家に生まれた篤さん。代々の味と技を伝承していく役目を担いながら、新たな蔵の街と温故知新のスピリットを造りあげていって欲しいと思いました。
金忠7代目 井上篤さんと奥様の芳恵さん
