「きゅうり」です。

2014年7月8日
夏秋きゅうり収穫量日本一!の福島県(農林水産省統計 平成25年産)。このように日本有数のきゅうりの大産地になるためには、きゅうりの生産に携わる方々の長年の努力と常に最新の技術を吸収しようとする向上心がありました。

苗を植えてそのまま伸ばす「地這い栽培」が主流だった昭和30年代。曲り果が多く日に当たらない部分が白くなるなどの欠点を解消し収量・品質の向上をはかるため、支柱を使い、ネットを張り、そこにきゅうりの“つる”を伸ばす「ネット栽培」を全国に先駆けて研究・導入したのが福島県なのです。
その当時にネットにしていたのは漁師さんの網だったそうです。そういった試行錯誤を繰り返し、現在の露地きゅうり栽培の長期安定出荷技術である「防虫ネット被覆栽培」を文字通り一から創り上げたんですね。
その向上心は留まる事を知りません。きゅうりの露地栽培で問題になってくるのは、害虫による食害と害虫を媒介した病気です。
それを解消するための方法として、ビニールハウス内で栽培する“雨よけ栽培”が導入され、出荷も早くできるようになりました。
一方、平成に入ってから福島県の露地きゅうり栽培は、アブラムシが吸汁媒介する複数のウイルス感染が原因の急性萎ちょう症(生育途中で急激にしおれて枯死する症状)が多発し問題となっていました。

そこで、1mm目合いの防虫ネットできゅうりを覆う防虫ネット被覆栽培が考案(会津坂下地域において福島県が開発した技術)され、全県下に普及しています。
この方法により、害虫とそれに伴う病気を軽減し農薬の使用を大幅に削減しつつ、高温・多湿を回避し、さらに風の影響を軽減し雹も完全に防げると、通常の露地栽培と比較して安定した生産が可能となりました。
ただ問題点として、虫の侵入がほとんどないため自然に受粉することが非常に難しいことがあります。
そこで大活躍するのが“ハチ”。ミツバチ類をハウス内に放すことによって、受粉に一役買ってもらうのです。
様々な技術と自然の力を積極的に取り入れることで、品質と量を兼備する生産現場が構築されています。
さらに皆さんのもとに届ける輸送の面でも細心の注意を払っています。
流通の際に高温になると、きゅうりの先端部が大きく膨張する“フケ”という生理障害が起きることがあります。
“フケ果”の発生を防ぐため、水分を含ませた吸湿紙を箱に被せるという独自の取り組みで品質を保持しています。

このように、様々な試行錯誤とあくなき向上心があるからこそ、きゅうりの産地として“日本一”なのですね。
皆さんのもとに届いている福島のきゅうり。そういった想いと努力、ストーリーが詰まっていると思うと、より一層美味しく感じられるのではないでしょうか!?
(記事:コッシー情報員)