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福島からいいものを 伊達クラフトデザインセンター 白井貴光さん -その3-

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DC²(伊達クラフトデザインセンター)白井貴光さん

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DC²(伊達クラフトデザインセンター)白井貴光さん

農林水産業という言葉が示す通り、農業・水産業と並ぶもう一つの柱が“林業”です。福島県は全国第3位の県土面積を有し、震災前の木材生産の産出額の都道府県別の順位は全国7位(平成22年)と、森林資源も大変豊富な県です。
残念ながら、農業・水産業と同様に、福島県の林業も原発事故により多大な影響を受けています。震災前には100億円台で推移していた林業産出額が、震災後の平成23年は87億2千万円まで減少してしまいました。

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福島県では県内の製材工場において、製材品の表面放射線量を定期的に測定し、出荷されている県産材の安全を確認しています。
そして、「福島県森と住まいのエコポイント事業」として住宅を新築や増改築する際に県産木材を一定量使えば、農林水産物と交換できるポイントを付与する事業を行っています。
また事業者側でも、独自に基準を設定して放射線量の自主検査をし、安全性をアピールするとともに、県産材の魅力発信を積極的に行っています。

このように県内外の方々が福島県の林業の復興に尽力する中、改めて林業に関わる産業について見直し、可能性を確認し、様々な活動を通じてその魅力を世の中に発信していこうという動きも見え始めました。
 
今回は、“「ものづくり」を通して環境問題、地域問題を考え、後世に残す「もりづくり」に少しでも役立ちたい”として、伊達市を活動拠点に新たなもの作りを目指す若手4人組によって結成された「DC²(伊達クラフトデザインセンター)」の白井貴光さんにお話を伺いました。

地産外商

昨年の2月14日に“DC²(伊達クラフトデザインセンター)”を立ち上げてから、一年以上駆け足で日々を過ごしてきたとおっしゃる白井さん。

「地域ブランドは地域のものづくりを担う集りが連携し、言われたものを作るというだけではなく、自分たちから発信するということが大事だと思います。」
 
その上で、地域内だけで回すことがサイクルづくりとは限らないということを、白井さんは教えてくださいました。
「私はよく“地産外商”という言葉を使うのですが、決まった枠にとらわれずにどんどん外に向けて発信していく、そこに外貨が生まれサイクルが続いていくと思っています。」

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さらに日本の林業の持つ大きな可能性にも言及されます。
 
「みなさんは当たり前に生えている木だと思っていらっしゃるかもしれない“杉”ですが、実は“杉”は日本固有種なんです。海外に杉は無いのです。」
 
不勉強なことにその事実を知らなかった私には、驚きでした。
 
「日本にしかない“杉”は大きな可能性を持っています。」
 
そう聞くと、外材に押されている国産材に、大きな光が当たった気がします。見方を変えれば新しい視点が生まれる、そのことを再認識しました。

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いいものを見せる

“DC²(伊達クラフトデザインセンター)”では、県産材を使用するだけではなく、その機能性や革新性も兼ね備えた製品を送り出しています。
 
「あの大地震にあった福島県から、そういった地震に対する耐震性を持った家具を産み出すことは大きな意味があると思います。こちらの食器棚は、大きな揺れが来ても扉が開かないように今までにはない工夫がしてあります。もちろん試験をしてそのことが証明されています。」

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「こちらのキッチンと洗面台は、人工大理石の間に木材がミルフィーユ状にはめ込まれています、斬新なデザインになっています。これって世界初ですよね?」
 
そう白井さんが、人工大理石のスペシャリストであるメンバーの八木さんに問いかけると、
「もちろん世界初です!」と胸を張って宣言していらっしゃいました。

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「福島県は、あまり良い意味では無かったですが、知名度は抜群に高まりました。その福島県からいいものが生まれ、いいものを見せる。
先の話かもしれないけど、福島県が新しい木の可能性の発信地になるのでは、そう考えています。」
 
そのお話通り、思いがけないところからお話がかかって来たそうです。それは大手飲料メーカー。
国産材を30%以上使用しており間伐材や端材などの国産木質バイオマス資源を積極的に活用し、ペットボトルに代わる飲料容器として展開している“カートカン”という容器の普及事業のポリシーと、“DC²(伊達クラフトデザインセンター)”の活動が合致するということで、カートカンの飲料の提供を受けたそうです。
 
カートカンについてはこちら(外部サイトが開きます)
http://www.toppan.co.jp/living-environment/cartocan/
 
現状に可能性を見出しそして行動で示す、そういう所には自然と可能性が集まってくるものだ、そのことを思い知らされました。
 
まさに今、福島から“いいもの”が飛び立とうとしています。


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