その2

2013年8月6日
夏秋キュウリの生産量日本一(農林水産省「農林水産統計」:平成24年産)の福島県。その全国に誇る「キュウリ」の魅力を現場からの視点でお伝えします。
今回お話をお伺いしたのは、域内に県内最大のキュウリの産地を抱えるJAすかがわ岩瀬 園芸課課長の関根康夫さん。場所は以前にもお伝えした、きゅうりの大型自動選果施設「きゅうりん館」です。
(きゅうりん館でのキュウリの選果についての過去記事はこちら)
今年はじっくり育って品質アップ
まず今年の夏秋キュウリの状況について。
「6月に猛暑が、7月12日以降は夜が涼しい状況と、例年とは異なる気候変動です。
そのため、きゅうりん館取り扱い分において、例年日量7000ケース前後のところが、今年は5000ケース前後と数量が控えめです。」と関根さん。
キュウリは夜伸びるそうで、夜の気温が大事。人間にとっては寝苦しいくらいの夜こそキュウリにとっては最高の環境なのですね。

そう考えると、夜暑いなーと思ったときは「キュウリが育つぞー」と思えば少し気分が楽になるかも…
その代わり、と関根さん。「じっくりと生育するため、実の充実がはかられます。そのため今シーズンは、小ぶりなものや曲り果などが少なく、品質の高いものの割合が非常に大きいです。」とのこと。
今年の福島県夏秋キュウリは品質が抜群だそうですよ、みなさん!
キュウリ栽培の先進地・好適地それが「福島」
JAすかがわ岩瀬の域内でのキュウリ栽培の歴史は古く、50年以上の積み重ねがあるそうです。その中で、積極的に新規技術も取り入れられてきました。
「苗を植えてそのまま伸ばす「地這い栽培」が主流だった昭和30年代、収量・品質の向上をはかるため、支柱を使いネットを張りそこにキュウリの“つる”を伸ばす「ネット栽培」を全国に先駆けて研究・導入したのです。」と関根さん。
今でこそネットを使ったキュウリ栽培は一般的な栽培技術ですが、当時は全く未知の技術。
当初ネット代わりにしていたのは漁師さんが使用する網だったそう!そういった試行錯誤を繰り返して、現在の高収量・高品質なキュウリを生み出す技術が確立されていったのです。
福島県の農家は、キュウリ栽培のパイオニアだったのですね。
そしてJAすかがわ岩瀬の域内の気候はキュウリの栽培に最適な環境のひとつでもあったのです。
「まずは水。阿武隈川をはじめとした豊富で良質な水源がありました。そして温暖な気候。また甚大な被害をもたらす台風も少ない。キュウリの栽培をするのに非常に向いていたのです。」と関根さん。
キュウリ栽培に適した土地・意欲溢れる人・そしてあくなき努力によって積み重ねられてきた歴史、福島県のキュウリが全国に認められているのは、しっかりとした理由があるのです。
おひとつどうぞ!
東日本大震災による被害は大きく、地震によって栽培施設などに被害がでたり、風評被害の影響も残念ながらあったとのこと。
しかし「そんな中で踏ん張ることが出来たのは、全国の皆さんの被災地支援でした。」と感謝の言葉を述べられる関根さん。
各荷受け場所に放射性物質検査施設を整備し、全農家・全品目を出荷前検査するなど地道に行動してきた中で、その取り組みが徐々に認知され、キュウリの販売も順調に進んできているそうです。

関根さんからのみなさんへのメッセージ
「暑い夏に おひとつどうぞ!」
「見直しをしていきながら、今後ともこういった行動を続けていきます。」と力強い決意を関根さんはおっしゃいました。
前回ご紹介した「キュウリビズ」。首都圏などの電車の中刷り広告でお知りになった方もいらっしゃると思います。
実はその「中刷り広告 キュウリビズ」は関根さんの発案だったそう!
暑い夏を乗り切るのにぴったりのお野菜、それが福島県の品質が高く思いのこもった美味しい「キュウリ」です!
(記事:コッシー情報員)