原発事故による福島県農業に関する問題。
それは単に農業生産者だけの問題ではなく、その農産物を加工するなど、
いわゆる「食」に関する産業すべてに降りかかった問題です。
今回は、創業時は味噌・醤油製造業からスタートしながらも、
伝統を守りながら現代の食生活にマッチした新商品の開発に取組み、
会津地方産の農産物を積極的に活用している、
会津天宝醸造株式会社 代表取締役社長 満田盛護(みつたせいご)さんにお話を伺いました。
本日から3回に渡ってお届けします。
その1 皆さんの応援が支えに (2013年5月20日公開)
その2 「自分」が「変わる」 (2013年5月21日公開)
その3 信頼を失わないために (2013年5月22日公開)
伝統を今に合わせて
会津天宝醸造株式会社の創業は明治4年、
まだ福島県ではなく”若松県”の時代ということで、大変歴史ある醸造会社です。
その長い歴史の中で、
地元産品を積極的に利用して商品開発を行うようになったきっかけや経緯について伺いました。
米とみそ汁と漬物、そして魚といった和食のスタイルが、
海外から食材や食文化が入ってくることによってどんどんと多様化していく中で、
会津の千年以上の歴史の中で伝統的に食べられてきたものが、
その多様化のために徐々に廃れていってしまった部分がありました。
しかしその伝統的な食というものを見直すと、実は機能的にも素晴らしく味も素晴らしい部分があって、
このまま放っておいたら無くなってしまうという中で、
その伝統的な食をもう一回、味も姿も今風にアレンジして、
現代の方に喜んで食べて頂けるようなものに “変えて” 提供したい、そのような思いがあったことを話して頂きました。
そして、会津を見まわすとさまざまな産物があり、
それを利用した商品開発をテーマの一つとしてあげております、と満田さん。
徐々に失われつつある伝統食というものは大事なものであり残さなければならない、
といった話はどの地域でもされている話だと思いますが、
“そのまま” 残そうとしていることがままあるのではないでしょうか。
そういった考え方に陥りそうな中、今の方々が食べやすいようにアレンジして受け入れてもらう、
この発想の柔軟性は特筆すべき点です。
そのことが結果的に、伝統的な食を絶やさず、次の世代へ受け継いでもらうことに繋がるのではないかと思いました。
皆さんの応援が支えに
伝統も大切にしつつ、今に合わせた対応もとってきた会津天宝醸造さんですが、
震災・原発事故を受けての被害や対応についてお話を伺いました。
まず、津波とそれに伴う原発事故により
地域が成り立たない状況になっている所の方々とは残念ながら取引が止まっています。
その一方、震災一年目は福島県ならびに東北地方を応援しようという流れも間違いなくあり、
お客様の中でも福島県を助けなくてはならない、と福島県の産品を積極的に扱っていただいて、
それに対して消費者も買うことが復興支援につながるんだという気持ちから、
一つの大きな流れがあったと思います。
このことが無ければ売り上げがどこまで落ち込んだかわからない状況で、大変救われました、と満田さん。
震災当初からの全国各地の皆さんの温かいご支援は、間違いなくしっかりと福島県を支えてくださっていたのです。
このお話を伺って、改めて応援・ご支援して下さった方々への感謝の念を思い起こし、
それに対する恩返しをしなければならないと、強く感じました。
次回、「自分」が「変わる」 は5月21日にお届けします。