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シリーズ現場に聞く~株式会社ジェイラップ 代表取締役 伊藤俊彦さん 編 -その1-

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各業界のキーパーソンにお話をお聞きする「野菜ソムリエ藤田が聞く」。
今回はシリーズで、実際に農林水産業およびその加工に携わっている方々からお話を伺う、
「現場に聞く」を5回に渡ってお送りします。

第一弾  キノコ生産者 中島康雄さん            (2013年5月7日公開) 
第二弾  水産加工業者 小松浩二さん            (2013年5月8日公開)
第三弾  水産加工業者 賀沢信さん             (2013年5月9日公開)
第四弾  有機栽培農家 佐藤吉行さん・東山広幸さん     (2013年5月10日公開)
第五弾  株式会社ジェイラップ 代表取締役 伊藤俊彦さん  (2013年5月13日公開)

今回は-第五弾-
ここからはスペシャルバージョンとして動画つきでお送りします。

お話を伺ったのは、株式会社ジェイラップ 代表取締役 伊藤俊彦さんです。

株式会社ジェイラップは、須賀川市に拠点を置き、
水稲を基幹業務としながら農産物を提携農家から委託を受けたものも含めて、生産・販売しています
特徴的なのは、徹底した生産・流通管理。
緻密なデータ蓄積を行い、それを生産現場にフィードバックして栽培・管理を行い、トレーサビリティも徹底しています。

 
 

 

経営者として

農協職員だった伊藤さん、まずは平成5年に「稲田アグリサービス」という農業生産法人を立ち上げました。
目的は、専業農家の設備投資を集約化して経営上の効率化をはかるということでした。

折しも米の輸入自由化がいよいよ現実味を帯びていた頃、
付加価値をつけて「自分たちの米を自分たちで売る・表現することをしようにも、
小売り免許を取得しなければならない時代だったということで、農協を辞職し、流通販売会社も立ち上げたそうです。

販売の形態も徐々に時代に適応させていきました。
当初は販売額の99%を米が占めていましたが、現在は40%程度。

米だけでは食えない時代が来るといち早く察知し、稲作の機械作業を集約化。
余裕が出来た労働力を稲作以外のものに振り分けることによって、
経営の柱を稲作だけではない多角的な形にし強固な経営体にすることを目指したそうです。

また、提携農家にも経営感覚を求め青色申告を義務化、
目の前の売り上げだけでなく費用対効果・生産コストにも目を向けてほしいとの意思がそこにはありました。

現在でこそ農家は「農業経営者」として営農を継続・発展するという意識が高まっていますが、
当時農家は生産のプロであり販売は農協や業者任せというのが主流。

長年、農産物の販売を手掛けてきた伊藤さんだからこそ
農業界を取り巻く環境の変化に素早く対応・組織構築できたのではないかと感じました。

まさしく農業経営のパイオニアといえる存在だと思います。

 

去年と同じで良いなんてありえない

そしてその歩みを止めることはありません。

農産物加工品は規格外品など安値のものを業者に工夫して加工“してもらう”発想が多いのだけれども、
加工品に適した生産物を価格・コストも勘案しながら生産し業者と共有するルートを
“自分たちで”考えるというモードに入ってきている、と伊藤さん。

私としても、加工品といえば規格外品に付加価値を付けて、
あるいはそれなりの値段で売れてロスがなくなれば御の字と考えており、
“加工品用に生産する”という概念は全くなかったので目からうろこでした。

毎年なにがしかのイノベーションをしています。
イノベーション要素を入れると人も育つんです、
去年と同じでいいぞなんてことはあり得ないと社員は考えている、と伊藤さん。

そして社員の数が増えすぎると縦割りにもなるし、
学ばなく吸収力がなくなるので少し人手が足りないと思うくらいにしているそうです。

伊藤さんは植物をたとえに出されて、厳しい環境に置くと根がしっかり張るとおっしゃいましたが、
確かに人は楽にはいかないけれども少し頑張れば手が届くくらいの環境の方が、頭を使い工夫するというのは、
特に震災後実感するところでもあります。

うちはいつも原点に返って「すきま」を狙う、誰も手を出していない・出そうと思っても躊躇する、
その“すきま”に次のスタンダードになる種があるかもしれない。

この一言に、伊藤さんの行動指針が端的に表れていると私は感じました。

 

 


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