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福島の食文化研究家・管理栄養士 平出美穂子さん編-その3-

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日本各地にはその地において脈々と受け継がれてきた「食文化」があります。
もちろん福島も例外ではなく、各地域に「食文化」が根付いています。

その福島の「食文化」にはどのような特徴があり、
そしてその「食文化」が震災・原発事故によってどのような影響を被ったか、
そして新たにどのような展開を迎えているか、
そのことを、福島の食文化を長年研究されている平出美穂子さんに伺いました。

 

今回は-その3-です。
その1  福島県「食文化」の多様性(2013年4月10日公開)
その2  「食文化」が奪われた  (2013年4月11日公開)
その3  新たな「食」の交流   (2013年4月12日公開)


 

新たな「食」の交流

このような環境下であっても、新たに生まれた関係性の元、
平出さんは「伝統食」をつないでいくというご活動をされていらっしゃるということで、
その点について伺いました。

今回の原発事故により全村避難を余儀なくされている葛尾村と飯館村。
こちらには前述した「凍み文化」として「凍み餅」が伝統食として受け継がれてきました。
この伝統を絶やすまいと避難先で「凍み餅」を作り、
避難先で出来る地元の「食文化」をやりたいと活動していらっしゃる方々がいました。
しかし、その「凍み餅」には本来「山ごぼうの葉」が練りこまれていたのですが、避難先には「山ごぼうの葉」が無く、
やむを得ず「よもぎの葉」を使用していたそうです。

ここに新たなつながりの芽がありました。

実は「山ごぼうの葉」は会津でも伝統的に使われてきた食材だったのです。
その「山ごぼうの葉」を葛尾村・飯館村の方々に提供し
「食」の交流をこれから図っていきたいと思っています、と平出さんはおっしゃいました。

残念ながら失われてしまったものはあるその現実の中でも、
違う地域の人がそれを補いつつ交流を図っていけば、また新しい文化が広がると思っていますとも。

「伝統食」をこれから新しい形で繋いでいく、その現場を私たちは今目撃しています。
 
 

「伝統」そして「創造」

平出さんがかかわっている「伝統食」に関する大きな動きがあるそうです。

それは「新会津伝統美食研究会」といい、
福島県ゆかりの主に東京で活躍されている料理人の方々を講師としてお招きして、
会津の料理人の方々の参加のもと、新しい会津の伝統食の創造を目指すという動きです。
食の最前線で活躍している料理人の方たちのきめ細やかな技術を、
会津の料理人がいま一生懸命学んでいるということです。

平出さんはアドバイザーとしてご活躍されており、
そのことについて「ありがたいこと」とお話しされる平出さんの心からの笑顔が印象的でした。

「食」の最前線の技術と会津の伝統食とのコラボレーションで、
新しい「伝統食」が創造されるということ、これからの展開がますます楽しみです。

平出さんは現在本を執筆中ということです。

連綿と受け継がれてきた会津の食文化を知れば知るほど、
「律義さ」「確実さ」「忠義さ」という会津の人柄が、
「食」にまで入っていることがわかります、と平出さん。
そういう食事をしていた会津の人たちが、
明治維新のときに全国津々浦々、市長・知事・大学の先生、
今話題の新島八重のように大学を創る人たち、そういった形によって全国で活躍している。
その人たちを生み出した会津の「食」というものは素晴らしいものだということを皆さんに知っていただきたい、
と平出さんは笑顔でおっしゃいました。

お話に引き込まれていた私はこの本は是非読んでみたい、そう心から思いました。

今回の震災・原発事故によって福島の「伝統食」というものは大きく損なわれました。
しかしながら、
だからこそ「伝統食」の尊さとそれを「つないで」いくということがいかに大事であるかということに気づけたともいえるでしょう。
そして今までの「伝統」を大事にしつつ、そこからさらに新しい「伝統」を創造し紡いでいく。

福島の「食文化」が途切れることは無い、そう確信した対談となりました。


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