「ふくしまの想いをのせて 福島県×ABC Cooking Studio」で、生産者の立場からお話をしていただいた、
「有限会社花雅」の渡部さんの畑へお邪魔しました。
主に花と野菜の苗を生産している猪苗代町内でも大規模な専業農家だと伺いました。
雪下キャベツを収穫するには、まず雪かきです。
積雪は1メートル以上もありましたが、キャベツが埋まっている場所は竿が立ててありました。
その下のキャベツを掘り出すのですが、スコップで地道な作業が続きます。
固く締まった雪を掘る作業は相当の体力が必要です。
雪下野菜に適した野菜は大根、人参、ゴボウの根菜類、他にキャベツや白菜、アサツキがあります。
アブラナ科の野菜は凍っても元に戻るので、同様のカリフラワーやブロッコリーも可能だそうです。
昔から雪国では冷蔵庫代わりに雪の下に大根や白菜を保存していましたが、
キャベツは外来の野菜ということで近年になってから雪下野菜として扱われ始めたそうです。
埋められているキャベツは「湖水」という耐寒性に優れた雪下専用品種です。
掘り出されたキャベツは外葉が少し凍みている程度で、新鮮そのものでした。
寒さから身を守るために栄養分を蓄えたキャベツを畑で味わってみて、特別な甘さを実感しました。
特に芯の部分の甘さはフルーツのよう。
雪下野菜は蒸すことで更に甘みが増すといわれていますが、渡部さんは「蒸すと歯ごたえを楽しめないので、生が一番!」と
おっしゃいます。
渡部さんは代々続く農家の後継者ですが、「農家の長男だから農業をやったわけではなく、農業をやりたいからやっている。
だからこそ、専業にこだわり、とことん農業で食べていきたい」と力強い言葉が頼もしい。
そして、雪下野菜を始めたきっかけは「農家とはいえ、米のことしか知らない農家の後継者に何かをやって欲しかった。
米以外のことを学び、自発的に農業を考え、利益を生める力を若い後継者に備えて欲しかった」ということからだとか。
そのため現在は、地域の農家の皆さんと一緒に猪苗代キャベツ研究会を立ち上げていらっしゃいます。
自分で創造し、自立していけたら、農業は楽しいもの。
それを未来につなげていきたい・・と渡部さん。
震災でモチベーションがかなり下がったとはいえ、雪下野菜の取組みは利益よりも、
みんなで農業の未来を考えることを目的としているので、直売所を中心とした対面販売を続けていき、
消費者の反応から何をしたらよいかを考えて進めていきたいとおっしゃっていました。
有限会社花雅
渡部 雅幸