寒くなるほど赤くなる、
この土地でしか色づかない「舘岩カブ」。
舘岩カブの収穫は10月中旬から雪が降るまで続きます。
赤カブ名人と呼ばれる橘正則さんが住んでいらっしゃる、
南会津町(旧舘岩村)の川衣(かわぎぬ)地区に行ってきました。
川衣地区は標高900メートルの高地です。
舘岩カブの赤紫の色は、高い標高と土壌によるものだといわれています。
中でも橘さんのカブは特に赤いのです。
橘さんは農家の8代目で、種は先祖代々自家栽培してきた在来種です。
この赤カブの種は市販されてはいないのだそうです。
舘岩地区の苗は橘さんが、種を撒き、育て、皆さんの畑へ植えたそうです。
8月下旬に種を撒き、それから2~3ヶ月で収穫できるカブは、
高齢化した農家にとっても、効率の良い作物だとか。
「赤くて美味しいカブを作るために本当によく勉強しました」と橘さんはおっしゃいます。
赤カブは今でこそ南会津町の特産品として知られていますが、
30年前に東京へ出荷した時は全く売れず、橘さんが中心になり7人のメンバーで試行錯誤。
その結果、漬物にして売ってみたところ好評で、特産品「赤カブの酢漬け」が出来上がったというわけです。
甘いお菓子がなかった時代には、おやつがわりによく食べていたそうです。
標高900メートルの川衣地区では、お米を作ることができない場所が多く、主にソバやアワ、カブを栽培していたそうです。
カブと米と混ぜて炊いた「カブめし」やソバ粉とカブを練った「カブ練り」などをよく食べたそうです。
勧められるまま、生で試食してみましたがその甘さは果物のようでした。
震災後もこの土地は何事もなかったかのように、静かに暮らしていますが、
近場の温泉のお客さん減ってしまったことに連動して、商品化された赤カブ漬けの売れ行きが
落ち込んでいることを心配していました。
しかし、「舘岩カブはここでしか栽培できない希少品。今まで通り作り続けるだけです。」との言葉に、
未来の光は日々の努力の積み重ねなのだと確信しました。