今回は『いわきチョコレート株式会社』さんへお邪魔しました。
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いわきチョコレートさんといえば『めひかり塩チョコ』
チョコレートと塩、キャラメルの3つの美味しさを「めひかり」という魚の形に込めたスイーツです。
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代表取締役の柳沼大介さんにお話を伺いました。
本店と工房は、いわき市の沿岸部・小名浜にあります。
津波の被害はありませんでしたが、
市内の観光施設が被災した影響でお菓子全体の出荷量が激減してしまいました。
いわきチョコレートさんでは「福島県のブランドイメージを上げる」という目標を掲げ
「ふくしま」にこだわったお菓子を作っています。
開発第一号の『めひかり塩チョコ』は、市魚・めひかりのかたちをしたチョコレート。
そして6次化商品カタログにも掲載されている『紅玉林檎チョコ』は、
伊達市の伊達水密園さんで作られた幻のリンゴ・蜜入り紅玉を使用しています。
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これら商品のコンセプトはズバリ「ふくしま」。
「ふくしま」へのこだわりが原発事故によって裏目に出るだろうと、柳沼さんは諦めの胸中だったそうです。
事故が起きた3月は、もともと1年で最も売り上げが多い月でした。
異動や転勤などで人が動くシーズン。あいさつの手土産として購入されたり、
ホワイトデーもあるので、バレンタインデーのある2月よりも売り上げが高いそうです。
生産にも力が入る、そんな3月に起きた震災、そして原発事故。
ネット販売も行われていますが、メインは卸し。
観光施設やお土産屋さんなどに卸す分が売り上げの多くを占められているそうですが
取引先の観光施設なども、ことごとく被災。
販売してもらっているお店がなくなってしまい、さらに3月の出荷量を見込み、大量に作った商品は行き場を失ってしまいました。
大きな損失と風評被害や被ばくの心配、ガソリン不足によって、廃業も考えたと語ります。
そんな心境から立ち上がらせてくれたのは、スタッフ。
震災直後から本店も工房も閉めたことで、自宅待機していたスタッフ達から、
「本店だけでも営業しましょう。」と声が上がったそうです。
さらに、「こういうときだからこそ甘い物を食べればホッとするでしょうし、
甘い物を食べたいという方もいるかもしれません。手元にある材料で作れる物を作って、お店に出しましょう。」
というスタッフからの更なる声に、柳沼さんは首を縦に振りました。
幸いにも震災時に停電にならず、冷蔵庫のなかの材料は無事でした。
本店の営業を再開したのは3月28日。
「ちょうど甘い物が食べたかった。」と笑顔で買っていくお客様がたくさん来られたそうです。
「店を開けば、それだけで明るい気分になれる。地域に活気も出る。
元気を発信するという意味でも、地域の人に少しでも笑顔をもたらすためにも、
私たちのような小売店ががんばらないといけない。」と強く感じたとおっしゃいました。
その後、市外・県外から沿岸部にボランティアで訪れていた方々がたくさん来店してくださいました。
また、昨年は日本全国からたくさんの注文もありました。
売り上げは前年から半減、そして取引先は半分以下に減ってしまいました。
それでもこうしてたくさんの方々に支えられたおかげで持ちこたえられたそうです。
今年もまだ厳しい状況が続いていますが、
「お菓子を通して、みなさんの心に感動や驚きという風を起こしていきたい。
という開業当初からの思いを今も持ち続けています。
そして、支えてくださった方々や応援してくださる方々の気持ちに報いるために、がんばっていきます。」
と柳沼さんは熱く語ってくださいました。
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甘い香りに満ちた店内で働く、明るく優しいスタッフのみなさん。
すごく素敵なお店でした。
いわきチョコレート
【住所】福島県いわき市小名浜寺廻町16-6
【TEL&FAX】0246-53-5265
【URL】http://www.shiochoco.com/
おしまい