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2016年11月1日
全国屈指の農業県である福島県。日本人に欠かせない主食であるお米に関しても収穫量・品質共に全国トップレベルであることはもちろん、“全量全袋検査”という世界にも類を見ない徹底した検査体制を確立した、ということを以前にもお伝えしました。
http://www.new-fukushima.jp/archives/33990.html
そして今、福島県オリジナル品種“天のつぶ”に続く新品種がまもなくデビューをむかえます。
それが“里山のつぶ”です。
この“里山のつぶ”は豊かな自然と人が調和する場所、福島県の里山で収穫されます。
今回は生産現場から、その“里山のつぶ”のこれまでのストーリーと携わった方々の想いをお伝えします。
食べてくださる方々の評価が一番
前回は“里山のつぶ”の育種について福島県農業総合センターを訪ね、品種として成立するまでの長期間にわたる地道な努力と、品種としての大いなる可能性について聞きました。実際に生産現場では、どのように受けとめられているのでしょう?南会津下郷町で行われた “里山のつぶ”の現地検討会を見学しました。
現地の景色はまさにイメージ通りの「里山」といったもの。山々を抜けて行った先に広がる田園風景。自然と人間が織りなす箱庭といった風情です。当地は標高700メートルほど。お米を作る上では限界ともいえる標高です。ここで3年にわたって“里山のつぶ”を試験栽培されている弓田 市治(いちじ)さんが検討会でお話されていました。
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「茎と葉もしっかりしており、病害虫にも強い。そして収量もある。」
と栽培上の手ごたえを感じているそうです。
「食べてみると粒張りが良く大粒で歯ごたえがあり、食味もとてもおいしいです。そして炊いた時の見た目も良いですね。」
中山間地域でメインの品種になっている“あきたこまち”を超える可能性を感じていらっしゃるようでした。
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「いくら作りやすくて収量が上がり味も良いと自己満足しても、食べてくださる方々の評価が一番です。その食べてくださる方々に評価していただけるように一生懸命作ります。
そして、もし評価していただけるのだとしたら、大きな可能性があると感じています。」
弓田さんはお客様に満足いただける品質かどうか、それを一番大切にしています。生産者としての誠実さとプライドを感じました。
里山の想いを込めて
その弓田さんのお話を熱心に聞いていた関係者の方々。特に産地の振興の一端を担っている地元農協の期待は高いようで、
「この地域の品種としては「あきたこまち」が主力となっていますが、福島県オリジナルの“里山のつぶ”をたくさんの農家の方々に栽培していただけるように努めていきたいと考えています。いずれは南会津=“里山のつぶ”という形で地域のブランドとして確立していければと思います。」
と力強い言葉。それを受けた流通関係の方からも、
「数がある程度揃ってくれば、ぜひ販売につなげていきたいです。“里山のつぶ”の一大生産地として育って行ってくれればと思います。」
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ロットを十分に確保さえできれば、販売において十分にやっていける手ごたえと可能性を感じていらっしゃるようでした。
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現場での実証圃場で生育を調査している県の担当者の話では、実際の圃場と試験では違いがあるらしく、データを収集しながらその地域ならではの“里山のつぶ”生産マニュアルを作成中とのことです。“里山のつぶ”の命名者である福島県農業総合センター会津地域研究所 専門研究員の吉田 直史(なおふみ)さんは、
「大きな“つぶ”という特徴と中山間地、いわゆる里山で育つということで命名しましたが、まさに里山の稲作を支える品種になっていってくれればと思います。そして“天のつぶ”とあわせて“つぶ”シリーズとして福島県農業の魅力を発信してほしいですね。」
と“里山のつぶ”へ期待を寄せていました。
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検討会終了後も関係者の皆さんが圃場の中に入り熱心に生育状況を確認していました。それだけ“里山のつぶ”は福島県の中山間地域、里山の農業振興の期待を一身に集めているのです。
最後に弓田さんに一言メッセージをお願いしました。
「震災の風評も相まって米価が下落し、正直なところ生産者の意欲が下がっているというのが現状です。しかしこの“里山のつぶ”をきっかけに、そして起爆剤にして現状を変えてきたいです。そのためにもみなさまに満足していただけるような、おいしいお米を精一杯生産していきたいです。」
里山のつぶは来年に一般作付けが開始され、来秋には収穫となります。みなさまに福島のおいしい里山の恵みをお届けできる日が楽しみです。
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(記事:コッシー情報員)