
2016年7月1日
土が豊かで、様々な作物が栽培されるいわき市小川町。この場所で野菜や米を自然農法で栽培している「ファーム白石」の白石長利さんを訪ねました。
白石さんは、代々続く農家に生まれ、8代目として田畑を受け継いでいます。幼いころから農家を継ぐことを考えていたそうで、農業高校を卒業後、東京の大学で農業を学び、いわき市に戻ってきました。
農業を始めた13年前、何か付加価値を付けて作物を販売できないかと考え、自然農法にたどり着きました。自然農法とは、無農薬、無化学肥料で栽培し、使うものは有機肥料のみです。白石さんの田畑では有機肥料も必要最低限しか与えません。
もともと小川町は土の養分が多く、少量の肥料で栽培ができる地域でした。そして白石さんのお父さんも作物に最低限の農薬や肥料しか与えない栽培を行っていました。そのため、自然農法への切り替えはスムーズにできたそうです。


私が伺った日は、田植え作業を行っていました。この水田も自然農法で栽培しています。水田の場合、一番大変なのは雑草の処理なのだそうで、収穫までに6回ほど草刈りを行います。手間暇のかかったお米はとてもおいしく、食味の数値は高いそうです。しかし、通常の方法で栽培した水田と比べると収穫量は減ってしまうため、白石さんのお米を求めているお客さまは、収穫より前に購入予約をしています。
今年は、5月下旬に田植えイベントも行われ、関東から15名ほどの方がいらっしゃいました。2年連続で参加された方もいたそうで、和気あいあいと農作業が行われ、白石さんが栽培した野菜が使われたお弁当も振舞われました。参加された方は、今年収穫されるお米がプレゼントされるそうです。
このようなイベントや田畑の情報、購入に関するやりとりはSNSを通じて白石さんと直接行うことが多いそうです。白石さんは特に震災後はSNSで、田畑の栽培情報はもちろんのこと、プライベートなことも発信しています。震災後、それまで取引のあったお客さまはかなり減ってしまい、農業を続けることをやめようと考えた時期もありました。しかし、SNSで情報を発信することによって、安全安心が伝わるようになり、SNSでのやり取りを通じて、お客様がだんだんと増えていきました。今は、白石さんの栽培するものを信頼し、理解してくださる方と付き合うことで、新たな人と人との繋がりができたそうです。
白石さんは、自然農法で野菜も栽培しています。今の季節は、ねぎが青々と育っていました。その他にも、トマトやブロッコリー、キャベツ、ニンジン、大根、白菜、じゃがいも、サトイモなど様々な野菜を栽培しており、その味はとてもやさしいと評判なのだそうです。自然農法で栽培する野菜は一株毎に成長の速度が違うため、総じて栽培時間は長くなり、収穫できる期間も長くなるため、様々な野菜を長く提供することができます。
また、いわき市は冬野菜の栽培にも適しています。雪はあまり降らず、気温が下がるため、味の濃い野菜になるそうです。


じゃがいもの花と畑

この野菜で作った6次化商品もあり、こちらも大人気です。
特に「焼きねぎドレッシング」はいわき市にある「Hagiフランス料理店」の萩シェフと共同で作ったもので、販売されている直売所などでは品薄状態が続いています。このドレッシングはじっくり焼いたねぎと生のねぎがバランス良く入っており、甘さも感じますが、しっかりとねぎの風味も味わえます。野菜はもちろんのこと、肉、魚などさまざまなお料理に合うそうです。


お話を聞かせて頂いた「ファーム白石」の白石長利さんです。
いわき市の農業のみならず、食や観光も繋がるようにさまざまな取り組みに参加しています。「自分が楽しいことをする」という気持ちで農業に取り組んでおり、その姿勢こそが多くの人を引き付けるのだと感じました。
白石さんの栽培するお米や野菜は、電話やメール、SNSを通じて販売をしています。お米や野菜を通じて、新たな人と人との繋がりができるかもしれませんね。
ぜひ召し上がってみてください!
ファーム白石
【住所】福島県いわき市下小川字味噌野16
【TEL】080-2810-4033
【MAIL】farm.shiraishi@gmail.com
【Facebook】https://www.facebook.com/farm.shiraishi