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雪深い山里ならではの山の恵み(西会津町)

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会津

雪深い山里ならではの山の恵み(西会津町)

2015年8月5日

新潟県との県境に位置する西会津町。四方を2000メートル級の山々に囲まれた奥川地区は飯豊山の麓にある集落です。
そして、奥川地区は奥深い山里だからこその恵み、「山菜」の宝庫です。
奥川地区で採れた山菜は、質が良く、道の駅等でも人気の商品だそうです。
 
今回は山菜採りの名人として知られている、「みちのく山菜の宿『茶屋』」のオーナーの佐藤ミヨ子さんに山菜について教えていただきました。
 
私は、山菜採りの行程をハイキングのようなものだろうと想像していましたので、山菜採りに同行させていただくつもりでした。
しかし、ミヨ子さんは山菜採りの装備を見せながら、「質の良い山菜を採るために、かなり深い山へ入るので止めた方がいい」とおっしゃいました。山菜を採る場所は深山で、夏でも残雪がある場所もあり、滑らないようにスパイク付の地下足袋を履き、熊よけの鈴をつけて登るという危険な作業となるそうです。山菜を採る山は集落で管理しているので、無断で入山することは禁止されています。
 
今年は雪解けが遅く、山菜の収穫時期も遅れぎみだとか。
 
収穫できる山菜の種類についてうかがうと、まず春一番で顔を出すのが「ふきのとう」。次に「こごみ」、「ぜんまい」、「わらび」というようにリレーしていくのだそうです。
山の恵みに感謝し、翌年も自生してくれるように生態系を守りながら、必要な分だけを採取するということがマナーだとおっしゃいました。
 
ミヨ子さんの台所には山菜がずらりと並んでいます。

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こごみ
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わらび
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ぜんまい

ミヨ子さんが作る山菜料理はいたってシンプルです。
そのシンプルだけど素材そのものを味わえる料理は、「山菜ってこんなにおいしいんだ!」 という、うれしい驚きを与えてくれます。
わらび、ぜんまい、こごみ等、数種の山菜の炒めものや、胡麻和え、お浸し等、どれを食べてもとても味わい深いのです。

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おいしさの秘訣は、採れたての山菜は新鮮さを生かした調理法を用い、保存してある山菜は旨みを生かした調理法をしているからなのだそうです。
新鮮なものを新鮮なうちに使うとおいしくなるのは、自分でも想像がつくのですが、保存してあるものは何がおいしさのポイントになるのでしょうか。
ミヨ子さんにうかがうと、山菜の保存はとにかく手間を惜しまないことなのだそうです。
例えばゼンマイは主に乾燥させて保存するそうですが、通常茹でた後に筵(むしろ)の上に広げ、天日干しにします。
並べて干すと言っても、一時間おきくらいに手もみをしながら、しなやかさを保ちつつ、完全に水分を乾燥させていくのだそうです。

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その他の保存法には塩漬けがあります。こちらは塩をおしまず、十分に使用するのが一番のコツだそうです。

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このように、今年の春に採れた山菜を保存して、翌年の春の山菜の季節まで食べ続けます。
こういった保存作業は雪深い山里ならではの生活の知恵を受けついできたものです。山の恵みに感謝して生活してきたその土地の人々の生活の一部となっているのです。
 
昔からの習慣だからというだけでなく、危険であるにも関わらず山へ入り、手間をかけるのは、奥川の山菜を食べて喜んでくれる人がいるからです。とミヨ子さんは笑顔でおっしゃいました。
 
この山菜のおいしさ、みなさんにも是非味わっていただきたいです。

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みちのく山菜の宿『茶屋』オーナー 佐藤ミヨ子さん

今回お伺いした場所

みちのく山菜の宿『茶屋』

【住所】福島県耶麻郡西会津町奥川大字飯根字中村1647
【TEL】0241-49-2133


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