Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 945

継続するということ 相馬地方農産物直売所連絡協議会 -その3- 寺島貞弘さん

Image may be NSFW.
Clik here to view.
fj0703_02

 

Image may be NSFW.
Clik here to view.
fujita_0703_title

Image may be NSFW.
Clik here to view.
相馬地方農産物直売所連絡協議会会長 寺島 貞弘さん

原発事故により農業に多大な被害をこうむった福島県の農業。特に東京電力福島第一原発に近い相馬・双葉地方の被害は、“甚大”という言葉すらその状況を表すに足りないと思わせるほどです。
 
震災から3年目を迎える今も、コメの作付けが出来ない地域も存在し、また、同じ自治体内であるにもかかわらず作付けの可否の区分けが違うなど、複雑かつ困難な状況です(参照:25年産米に関する作付け制限等の対象地域(PDFファイル))。
 
そのような未曾有の厳しい状況の中でも、農業者そして食に関する産業に携わる方々は、一歩ずつ前に進もうとしています。
今回は相馬地方農産物直売所連絡協議会の研修会を訪ね、現場の状況と取組みについてお話を伺いました。

 
最終回、その3をお届けいたします。
その1 直売所ができるだけでも幸運   (2013年7月2日公開)
その2 「食」が生み出す絆       (2013年7月3日公開)
その3 継続するということ       (2013年7月4日公開)


 

なくすことはできない

報告会の終了後、相馬地方農産物直売所連絡協議会会長の寺島貞弘さんにお話をお伺いしました。
 
「確かに相馬地方の農産物直売所の状況は厳しいですが、それ以上に双葉地方は厳しい、直売所をやれないどころか故郷にも戻れない方々がいらっしゃる。そして海の状況も深刻。漁に出ることもままならない。」
 
ご自身も大変なはずです。それでももっと大変な方々へ思いを巡らされる、寺島さんの思いやりの強さが身に沁みます。福島県にはそういった方が数多くいらっしゃるのです。
 
寺島さんは、生産や販売の抱える問題の他、流通についても言及されました。
 
「いわきに抜ける常磐自動車道と国道6号線が開通しておらず、JR常磐線も同様。これが非常に困っていること。関東圏に営業・出荷するうえで大きな負担となっています。」
 
確かに、現状ではいわきや関東方面から相馬地方に行くためには、一度“中通り“に迂回しなくてはなりません。
東日本の多くの方がインフラの遮断が骨身にこたえた震災だったとお感じになっているかもしれませんが、相馬地方は今に至るまでその状況が続いているのです。
インフラの復旧なくして復興なし、そう私は思います。

 

復興に向かっていくうえで新しい試みはあるでしょうか、とお尋ねしたところ、
 
「今はそういったことをできる状況にありません。飯館村・南相馬市小高区では直売所を再開するどころか、住民が戻るのもままならないのです。協議会員も減って、勢い・活力がなくなっているのが現状です。」
 
私は思わず言葉を失いました。同じ福島県に住む者とはいえ、相馬地方の方々の苦境に対する認識が甘すぎた、そう思わざるを得ませんでした。

Image may be NSFW.
Clik here to view.
fj0703_01


 

「それでも」と、寺島さん。
 
「一度なくなったものをもう一度作り直すのは非常に難しいと思います。だからこそ今まで通りに、今直売所を開けない方々が復帰するまでの間、私たちは継続していくのです。」
 
穏やかな口調ながらも、非常に強い意志を感じました。

 

私はこの日まで、“復興”というものは単に“復旧”させるのではなく今まで抱えていた問題も解決する、その行動によって為されるものだと考えてきました。
しかし、まずはしっかり“継続”する。このことの重要性を心の底から感じ入りました。
 
私たち福島県内の人たちはこの“継続”に力を貸さねばならないと強く思うとともに、全国の皆さんにも支えて頂きたい。そう願わざるを得ませんでした。
そして相馬・双葉地方の方々が次のステップに足がかかるまで、その支えも“継続”していかなければならない、そう決意した対談でした。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 945

Trending Articles