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福島県酒造組合会長 新城猪之吉さん 編 -その1-

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米どころ福島。
そしていい水もあるとくれば、「日本酒」も素晴らとしいものが出来上がります。
そして、福島県は日本酒生産量・消費量ともに全国トップクラス。
今回はその「日本酒」に焦点を当ててみました。

「日本酒」産業は農産物加工品でもあり嗜好品でもあるという側面をもっているため、
今回の震災・原発事故において大きく翻弄された産業の一つです。
その点も踏まえて、雪が良く似合う会津の街並みを抜け、福島県酒造組合会長 新城猪之吉さんにお話を伺いました。

 

本日から3回に渡ってお届けします。
その1  自分たちの声を届ける (2013年4月23日公開)
その2  世界に目を向ける   (2013年4月24日公開)
その3  近づければいい    (2013年4月25日公開)

 

 

地震の影響も大きかった

原発事故の影響ばかり語られがちですが、地震の被害も相当大きかったはず。
古い蔵は軒並みひどい損害を受けていたため、酒蔵も同様ではないか。
そう思いその被害状況について伺いました。

会津・喜多方方面の酒蔵はそうでもなかったそうですが、郡山など中通りでは被害が大きく、
特に白河方面の酒蔵は大きいダメージを受けたそうです。
そして浜通りでも、津波により流されてしまった酒蔵もあるなど、厳しい現実についてお話しいただきました。

原発事故により地元での営業が不可能になったということも、もちろん大変な被害です。
ただ、中通りの須賀川市にある「藤沼貯水池(藤沼湖)」の決壊により、
死者・行方不明者を出し、用水の確保が不可能になる地域が出るなど、
地震・津波による建物やインフラの被害についても忘れてはならない・対策をとらなくてはならない、
改めてそう思いました。

 

必ず送り届ける

とはいえ、実際問題として大きく横たわる原発事故による影響。
事故直後から半年くらいまでの影響について、伺いました。

「どこまでマーケットが無くなっているかもわからない。」

その一言から3月、4月は状況を把握することすらできない大混乱に陥っていたことが容易にわかりました。
ただ、うれしいことに、そのような中でも注文をくださる方がいた。その人の注文だけは必ず送り届ける、
その一心から、当時福島県内は宅配便網が麻痺していたので、新潟まで赴いて発送し、
そして枯渇していたガソリンを調達することの繰り返しだったとのこと。

この感謝の気持ちとそれに何とかして報いようとする気持ち、
この2つの気持ちは福島県の多くの生産者が抱いた気持であり、
ある意味「初心」として忘れてはならないことだと私は思います。

 

自分たちの声を届ける

昨年5月の連休頃から事態は急変しました。

全国から「売りに来てください。」という依頼が殺到し、「東北の酒を飲もう!」という機運が高まった、
いわゆる復興応援が熱を帯びてきたのです。

ただ、受け身の姿勢だけだったわけではありません。
有志の方々が「youtube」で花見をしてください、お酒を飲んでくださいと情報発信したおかげで、
花見シーズンの4月20日くらいから多くの注文が入ったそうです。
折しも、花見の自粛ムードが広がりそうだった頃で、その後も5月から8月くらいまで
出品・出店依頼や注文が多く入り、全国を飛び回られたそうですから、その効果の大きさがわかります。

こういった危機的状況下において、「自分たちの声を届ける」情報発信の重要性が
非常によくわかるエピソードでした。
地道に一歩づつ行動すること、そして情報発信することこの両輪が復興への道のりを進むために必要なものだと、
私は思います。

ただ、その応援ムードは長くは続きませんでした、と新城さん。
一年もたつと、お呼びがかかる回数が減り、さらに呼ばれた先での売り上げも目に見えて減っていったそうです。

  

次回、「世界に目を向ける」は4月24日(水)にお届けします。


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